飯川雄大展「デコレータークラブ:未来のための定規と縄」が、鹿児島県霧島アートの森にて、2023年7月14日(金)から9月10日(日)まで開催される。
飯川雄大(いいかわ たけひろ)は、1981年兵庫に生まれ、現在は神戸を拠点に活動する作家だ。2007年より展開している「デコレータークラブ」シリーズでは、鑑賞者が作品に対して働きかけることで、別の場所で思いもよらない出来事が生じるインスタレーション《0人もしくは1人以上の観客に向けて》など、認識と現実の間にあるズレを可視化し、その場と鑑賞者の関係性に光をあててゆく作品を発表してきた。
展覧会「デコレータークラブ:未来のための定規と縄」では、定規と縄をモチーフに新作を発表。一見すると遊びにも思える鑑賞者の身体的行為を取り込みつつ、展示室ばかりでなく野外広場へと広がる大規模インスタレーションを展開する。また、その全貌を捉えることのできない大きな彫刻《ピンクの猫の小林さん》など、飯川が継続的に発表している作品も紹介する。
飯川が2019年以降に発表してきた《0人もしくは1人以上の観客に向けて》は、室内に設置されたハンドルを回すと目の前の縄が反応し、美術館のどこかで新しい出来事が生じるインスタレーションであった。本展では、鑑賞者の行動が思いもよらない出来事につながるというモチーフをより発展させた新作インスタレーション《未来のための定規と縄》を発表。広大なアートホールの各所に設置した縄に直接触れることができる同作は、飯川がこれまでにたびたび取り組んできた「起こった出来事に気づくまでの距離や時間」という主題を深めたものだといえる。
鹿児島県霧島アートの森は、広大な野外広場を擁しており、草間彌生ら現代美術家による作品23点を常設展示している。本展では、特別展示としては同館の開館以来初めて、野外広場にも作品を展示。2022年度に箱根・彫刻の森美術館で展示された、高さ15mの彫刻《ピンクの猫の小林さん》を展示するとともに、かつて飯川が構想した400mに及ぶ《ピンクの猫の小林さん》を想像するための新作《未来猫のための定規(仮)》を設置する。
現代美術|特別企画展 飯川雄大展「デコレータークラブ:未来のための定規と縄」
会期:2023年7月14日(金)〜9月10日(日)
会場:鹿児島県霧島アートの森
住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場6340-220
休園日:月曜日(祝日の場合は翌日休園、ただし7月31日(月)、8月14日(月)は臨時開園)
開園時間:9:00〜17:00
※7月20日(木)〜8月31日(木)の土日祝日は19:00まで
※入園はいずれも閉園30分前まで
観覧料:一般 1,200円(900円)、高校・大学生 800円(600円)、小・中学生 600円(400円)
※( )内は前売および20人以上の団体料金
※前売チケットは、6月24日(土)から8月27日(日)まで販売
※本券で野外常設展も観覧可
■キュレーション
堤拓也(インディペンデント・キュレーター)
【問い合わせ先】
鹿児島県霧島アートの森
TEL:0995-74-5945