バルマン(BALMAIN) 2023-24年秋冬ウィメンズコレクションが発表された。
毎度ラグジュアリーなランウェイで、観客たちの目を楽しませてくれるバルマンだが、今季は一転して小規模な会場が舞台。“本質的なコレクション”を目指したというクリエイティブ・ディレクターのオリヴィエ・ルスタンは、ブランドの原点へと立ち返り、メゾンのアーカイブにインスパイアされたシルエット、シグネチャー、パターンをピックアップ。クラシカルでありながら、どこか新しい、新時代にマッチするピースへと昇華させている。
創業者のピエール・バルマンが戦後に発表したニュー・フレンチ・スタイル。当時の機能的なファッションとは対照的に、刺繍、ほっそりとしたウエスト、華麗なスカートなど、フェミニンで洗練された大胆なスタイルは、多くの女性たちを魅了してきた。
ランウェイを席巻するのは、そんなムッシュ・バルマンの遺志を引き継ぎながら、モダンに再解釈されたルックの数々だ。往年のハリウッド女優を連想させる、ドラマティックな余韻を残しながら、現代らしいファブリックやカッティングがランウェイの上を交差する。
その好例となるのは、襟ぐりを大胆に開けた、脱構築的なワンショルダーのドレススタイルだ。意外性のあるPVC素材を使用しながら、そこに生み出される優雅なドレープの表情は、ブランドが誇る高いクラフトマンシップの結晶。またドレスのアームからグローブが一繋になるなど、既存の枠組みにとらわれない、大胆かつユニークなアプローチも印象的だ。
従来、身体をすっぽりと覆い隠す役割を持つロングケープは、クリスタルが連なる、近未来的なドレッシーな一着へ。クリアなクリスタルの瞬きが、ゴージャスさとデリケートさを備えた、洗練された表情を演出してくれる。一方で、足元は“もこもこ”のファーをあしらったパンプスをスタイリング。対照的な素材のコントラストが、より一層モダンなムードへと引き寄せてくれる。
今季は、リボンをドラマティックな大きさへとデフォルメした装飾も目を惹いた。デニムのブラウスやクラシカルなスーツに、フェミニンなムードをもたらしている。中には、ニットで仕上げたリラクシングなセットアップにも、その胸元に巨大なリボンが。エフォートレスなスタイルでありながら、パールの装飾や優雅なシルエットも相まって、本物のドレスのような華やかなムードに包まれていた。