1873年、創業者・倉田雲平が久留米市米屋町に家賃六五銭の小さな店を借り「つちやたび店」として、座敷たび造りを始める。
ムーンスター(MOONSTAR)は、日本・久留米のシューズブランド。老舗中の老舗で、学校の上履きなど有名。現在は、高感度のセレクトショップで「ヴァルカナイズ製法」を用いたスニーカーを展開し人気を博している。
ヴァルカナイズ製法とは、生ゴムに硫黄を加え、熱反応によりソールとアッパーを接着させる製法のこと。手間がかかるが、丈夫な仕上がりと美しい風合いを叶えてくれることで知られる。国内で採用しているメーカーはわずか。
海外ブランドとライセンス契約を多くしており、ニューバランス、コンバース、トムマッキャンなどが名を連ねる。
ムーンスターのプロダクトライン「エイトテンス(810s)」が2019年より登場。ムーンスターが培ってきた、キッチンシューズやナースシューズなど、専門分野で使われるプロユースの靴作りにおけるノウハウを生かして、日常使いできるシューズを提案する。
■歴史
1873年、倉田雲平が「つちやたび店」として、座敷たび造りを始める。
1911年、いろはたび(普及品)製造開始。
1917年、「つちやたび合名会社」を設立。初代倉田雲平死去(67才)。倉田金蔵、雲平を襲名し、二代社長に就任。
1920年、取引先のシンガーミシンの支配人が持参したアメリカ製キャンバスシューズを見て、布とゴム底がゴムのりで貼りつけられることを知り、地下足袋の研究を開始。布靴の研究に着手。
1922年、貼り付け式地下タビの試作に成功、生産開始。
1925年、運動靴(布靴紐付き)、ゴム長靴製造を開始。この頃、国内で布靴の製造が始まる。
1928年、製品の世界的進出を目指す。月星印運動靴製造開始。商標は小槌印一種であったのを、「つちやたび」には小槌印、運動靴その他のゴムの履物には、世界的にわかりやすく、親しみやすい図柄として「月星印」を使用、支那靴の一部および中近東向け運動靴などにはコウモリ印と、モデルで分けて用いるようになった。
1931年、「つちやたび株式会社」に組織変更。
1940年、ゴム履物統制令により、学童用、労働用以外のゴム履物が製造中止となる。※1937に軍需指定工場となり、翌年には軍管理工場となった。これに伴い、原料は配給され、軍需品の納入を行うように。
1949年、「日華ゴム株式会社」と社名変更。
1950年、ゴム工業技術の世界的権威、米国フィリップ・T・ギドレイ博士と技術顧問契約を結ぶ。戦後の生産再開にあたって2度の設備改善計画を行い、生産能力は戦前の2倍に達する。
1958年、三菱商事とアメリカ向け輸出販売契約。南極観測隊に特殊防寒靴を製造、寄贈。※南極観測のための特殊防寒靴は、零下50度の厳寒に耐え、日本隊はもとより、外国隊の間でも評判になった。
1959年、革靴VP(バルカナイジングプロセス)シューズ生産開始。
1962年、「月星ゴム株式会社」に社名変更。翌年、輸出振興に尽力した功績により、ゴム事業体として初の総理大臣賞を受賞。
1972年、「月星化成株式会社」に社名変更。
1994年、テフロン加工シューズ発売、96年にはテフロン加工革靴での商品化に成功。
2006年、「株式会社ムーンスター」に社名変更。
2019年、プロダクトライン「エイトテンス」誕生。