特別展「毒」が、大阪市立自然史博物館にて、2023年3月18日(土)から5月28日(日)まで開催される。東京の国立科学博物館でも開催された巡回展だ。

“毒”の諸相をさまざまな研究分野から紹介

毒は、基本的にヒトを含む生物に害を与える物質と捉えられている。しかし、毒のなかには薬効を有するものもある。つまり人間は、天然に存在する「生物に何らかの害を与える物質」のうち、人間にプラスに作用するものを「薬」、マイナスに作用するものを「毒」と呼んでいるのだ。実際、人体に有用なものでも過度に摂取すれば毒となる場合や、アレルギー反応に見られるように感受性の高低によって毒性が異なる場合もある。

このように「毒」とはいわば、複雑な自然を理解し利用するため、人間が生みだした概念であると考えることができる。特別展「毒」では、動物や植物、菌類、鉱物、そして人工毒など、多種多様な毒に着目。動物学や植物学、地学、人類学、理工学といった視点から、自然界に存在する毒約250点を紹介する。

自然界に存在する毒

本展の序盤では、生物や鉱物など、自然界にある毒を紹介。動物や植物、菌類など、生物が持っている毒の目的は、「攻めるため」と「身を守るため」に大別される。その例を挙げるならば、コモドオオトカゲは、唾液に血液凝固を阻害する成分などが含まれており、獲物を咬み傷からの失血によって弱らせる。一方、オクトリカブトといった植物や、カエンタケなどのきのこに見るように、毒性を持つ植物や菌類も数多く存在する。会場では、さまざまな毒の働きを、拡大模型や剥製などを用いて紹介する。

毒と生物の進化

毒の存在は、生物同士の関係にも長期間にわたって影響を与え、進化の原動力にもなってきた。たとえばキオビヤドクガエルなどは、自身に毒があることを周囲に伝える「警告色」によって、無用な争いを避けている。また、コアラは有毒植物であるユーカリを食物とするため、毒に対抗する特徴を発達させてきた。本展では、有毒生物への擬態や、毒に耐える性質の獲得など、毒と生物の進化の関係にも光をあてる。

毒と人間

本展の終盤では、太古から近現代にわたる毒と人間の関わりに着目。人間は、狩猟や戰、処刑、暗殺に毒を活用するとともに、毒の研究を通じて薬を生みだすなど、毒を理解しつつ利用する方法を編みだしてきた。会場では、植物の毒性物質を用いた殺虫剤や忌避剤など、人間による毒の利用のほか、科学の進歩に伴う毒の解明についても紹介する。

展覧会概要

特別展「毒」
会期：2023年3月18日(土)〜5月28日(日)
会場：大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(花と緑と自然の情報センター 2階)
住所：大阪市東住吉区長居公園1-23
開館時間：9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日：月曜日(3月27日、4月3日、5月1日のぞく)
観覧料：大人 1,800円(1,600円)、高校・大学生 1,500円(1,300円)、小・中学生 700円(500円)、未就学児 無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※障がい者手帳などの所持者および介護者1名は無料(要証明)
※高校・大学生は学生証を提示
※上記特別展料金で、当日にかぎり大阪市立自然史博物館常設展も入場可
※前売券は、2023年1月18日(水)から3月17日(金)まで、公式オンラインチケットほかにて販売(詳細については展覧会ホームページを参照)
※会期などは変更となる場合あり(最新情報については展覧会ホームページなどを確認のこと)

【問い合わせ先】
大阪市総合コールセンター(なにわコール)
TEL：06-4301-7285