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【インタビュー】NIGO、UTから再始動!ファッション、Tシャツ哲学、最新コレクションを語る | 写真

――監督として指示を出すときに軸となる、NIGOさんの美学・哲学、かっこいいTシャツの条件はなんですか。

最近のTシャツって、細めの糸をよって表面をきれいにしようとする傾向があって。店頭で見ると、滑らかで綺麗なんですけど、実際に着たときに、肌に密着して汗をかくとベタッとなるんですよ。例えば男の人だと汗をかくとお腹のラインがくっきり出てしまう。下着だったらそれでも良いんですが、もっと“見せるTシャツ”としてファッション性を持たせました。それがTシャツの本来の姿です。太めの糸を使うと、ちょっと表面が荒くはなりますが、肌についたときに“隙間”ができます。そうすると通気性もよくて、機能もいいし、見た目もそこまで体型を選ばないというメリットが生まれます。

そういう利点があって、シャツなどの下に着てもいいし、上着を脱いで見せてもいい。Tシャツって、インナーにもアウターにもなるアイテムですから。僕も試作品を何度も着て確かめましたが、丸胴にしたのは、何度も洗っていくと身体に程よく馴染んで、いいヨレ感も出るというのが理由です。それが僕の中での“Tシャツ”です。Tシャツってアメリカに原点があるので、そこを追求した場合は必然とそうなります。

でもUTにはいろんなお客さんがいて、それぞれ好みも違うので、丸胴やヨレが嫌だっていう人もいるでしょう。だからバリエーションを作っていて、全てを丸胴にしているわけではありません。

【インタビュー】NIGO、UTから再始動!ファッション、Tシャツ哲学、最新コレクションを語る | 写真

――もうひとつ、Tシャツの大切な要素であるプリント、グラフィックについてはどうですか。

コンテンツについては、みんなで沢山出し合った案の中から最終候補まで落とし込みました。基本はコンテンツもチームで話し合います。僕がすごい好きなのは、例えばこのシュウィン(Schwinn)みたいなもの。1800年代から続いている自転車メーカーで、実際に僕もここの自転車をコレクトしています。

ハローキティに関しては、知人でデザイナーの山口裕子さんに、コンセプトを自分から出して描き下ろしていただきました。コーラ・コーラのTシャツは、コカ・コーラのコンテンツでありながら、コカ・コーラのロゴを入れず、リボンとメッセージだけのデザインで特別にやらせていただきました。このように、他にないものを作るために、沢山無理を言わせていただきました(笑)。

コンテンツというのは、他社さんとかぶる可能性があるので差別化する必要があります。ディズニーの場合、実際に日本の本社まで足を運んでアーカイブを見せていただきました。これ(ドナルドのブルーのTシャツ)も、本社の何万点というアーカイブの中から、ピックアップしたものです。これは、たまたまブックに押されていたスタンプのように押されていたものです。

生産の工程についても、特別です。これは一旦生地を編み上げた後にプリントしているんですよ。通常だとTシャツの形に縫製してからプリントするので、これには僕も驚きました。だいたいMサイズだとプリントの幅が27㎝くらいなんですが、ここ(袖の縫い目)にシルクスクリーンのフレームが当たってしまいます。液だまりができてしまうので、通常はきっちりこの内側にスクリーンが収まるサイズのプリントというように限定されます。だけど、UTでは編み上がったフラットな状態でプリントするので、こんなキワにもプリントが可能です。

プリントのこともそうなのですが、UTで仕事をするようになって、これまでやりたくても出来なかったことが容易にできてしまうという驚きが多々ありました。これから、もっとUTの持つ生産技術をフル活用したいと思っています。

僕が入ったことによって、みんな「もっとクリエイティブが広がった」と思っています。やり始めた当初は「デザインは作ったけど、これはコストが合わない」とか見えない壁をスタッフからかなり感じました。今ではかなり良いデザインのものができていて、チームプレイも更に良い感じになってきたかな、という感触があります。

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左) アーカイブから抜粋されたドナルドのスタンプをグラフィックに。
右)「アメリカンムービーキャラクターズ」のシリーズからグレムリン。レディースのTシャツは本邦初公開。

>>次のページは、Tシャツと現代の若い世代のファッションの可能性について。

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