ダブレット(doublet)の2023年春夏コレクションがフランス・パリで発表された。テーマは「IF YOU WANT IT」。
毎シーズン、奇抜な演出で観客の度肝を抜いているダブレットのランウェイショー。2023年春夏コレクションは、“真夏のパリに雪を降らせる”というこれまたサプライズに満ちた演出で観客をあっと驚かせた。
「世の中のどうにもならないことでも、がむしゃらに本気で思えば、 きっと世界の少しでも変えることことが出来るはず。」そう語るのは、デザイナーの井野将之。4年前に常夏のシンガポールでフェイクスノーを降らせた時の、初めて見る雪にはしゃぐ子供たちの笑顔が忘れられず、今回のショーでも季節外れの雪を降らせてみせたのだという。
ショーに登場するのは、遊び心満載&インパクト抜群の“ダブレット節全開”なアイテムたち。たとえば、2019-20年秋冬コレクションに登場し話題となった、着るとたちまち“首無し人間”になれるオーバーサイズのジャケット類は、真っ赤なトラックジャージやタートルニットに姿を変え再登場。視界をすっぽり覆ってしまうジャージに“目”の刺繍が施されているのも秀逸だ。
ダブレットお得意の、アイ・トリックの効いた洋服も多数お目見えした。デニムジャケットとデニムパンツのセットアップは、よく見るとダメージやシワなどを全てプリントで施した“だまし絵”デザイン。“肩に雪が積もった”ようなライダースジャケットや、まるで“足を通していない”かのように見えるスラックスにも、思わず視覚を騙される。
ほかにも、パンやBBQなど美味しそうな食べ物のプリントをあしらったTシャツや、絞りを効かせてサイズの概念を取り払ったドレス、クロシェニットのトップ&スカートなど、過去のコレクションで象徴的に用いられていたアイテムが続々登場。ダブレットのアイコンアイテムが集結した、アーカイブを辿るようなコレクションとなっている。
錆びついたシルバーのバケツ型バッグや、体と一体化したような5本指シューズなど、コレクションを彩るユニークな小物類にも注目したい。ベルトの留め具部分やチェーンの輪はよく見ると“指”がモチーフになっており、不気味なユーモアセンスが光っている。