アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)の2022年秋冬コレクションが発表された。
“原点回帰”をキーワードに展開された2021年秋冬コレクションと2022年春夏コレクション。ブランドのアイデンティティを色濃く反映しつつ、男女の垣根を超えるディテールをさり気なく落とし込むことで、アン ドゥムルメステールの新時代を表現した。
そして今季も引き続き、エレガンスや心地よさに重きを置きながら、ブランドの本質を追求していく。
ワードローブのベースとなるのは、潔い黒色×ロング丈のテーラードスタイル。ともすれば重い印象を抱かせるブラックだが、しなやかな流線型のラインを描きつつ抜け感のある深いVネックに仕上げることで、軽やかなムードを纏わせた。
一口に黒といっても、作為的な生地使いによって表情を異にする。ハードな黒光りを放つレザーコートがある一方で、柔らかく軽やかなカシミアのボイルドウール素材を使用したシングルブレストジャケット、手作業による刺繍が施されたピンストライプスーツなどが展開された。
また今季において特筆すべきは、黒からグレーへと移り変わるトーンオントーンが採用されている点。白黒つけるのではなく、柔らかさと強さを兼ね備えたグレーが差し込まれていることに、憂いを帯びた秋冬の季節感やグラデーションのような“気分”の投影が感じられる。
加えて、時折ダークブルーのルックを織り交ぜることで、今季らしいエレガントで洗練されたムードを加速させているのも印象的だ。
オーセンティックなスリーピーススーツがある中で、それらを着崩したルックが存在感を放つ。ベストを引き延ばしたかのようなロング丈のジレには、ゆったりとしたシルエットのパンツをレイヤードし、シャツの代わりに“付け襟”を差し込んで。さらに、歩くたびに揺れるロングリボンを添えることで、フォーマルさと遊び心を違和感なく同居させた。