展覧会「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない!人生絵日記」が、熊本市現代美術館にて2022年2月5日(土)から4月10日(日)まで開催される。その後、岐阜、滋賀にも巡回予定だ。
塔本シスコは、50代で油絵を始め、91歳で亡くなるまでの40年間にわたって膨大な数の作品を制作し続けた、熊本県出身の素朴派の画家。本展は、鮮やかな色彩を使い、あふれ出る夢や喜びを制作の原点としたシスコ・ワールドの全貌を紹介する、これまでで最大規模の塔本シスコの回顧展だ。
会場には、制作を始めた初期の作品から最晩年の作品までが一堂に集結。絵画だけでなく、木箱や竹筒、しゃもじなどに絵を付けた作品や、立体作品も登場する。
53歳にして絵を描く生活をスタートさせた塔本シスコの作品は、自身の日常や家族、九州、熊本の風景などから着想を得ている。
例えば、庭の周りに育てたひまわりの花々と故郷の田植えの風景を重ねた《長尾の田植風景》や、大切な家族の一員であった猫を描いた《ネコ》、夫の遺影とともに描いた《もらったラン、もらったシクラメン》、家族からプレゼントをもらった時の嬉しい気持ちを表現した《88才のプレゼント》など、塔本シスコが実際に見てきた風景や人生の経験を自身の心情と重ねて表現している様が見て取れる。
また、にぎやかなことや楽しいことが大好きだった塔本シスコの高揚感が伝わってくる絵画も登場。近所の人にたちに囲まれながらテレビの取材を受ける様子を描いた《NHKがやって来た》や、《さようなら長野オリンピック》などには、躍動感のあるタッチとともに楽しげな雰囲気を描き出している。
88歳の夏に認知症を発症してからは、居室で座って描ける見舞いの花や果物を題材に作品を制作するようになる。九州の親類からの贈りものである柑橘系の果物を描いた絵画や、花や鳥を並べ、愛らしい装飾を施した作品が登場。絶筆は、力強く輝く満月を描いた作品だった。
チューブから直接絵具をしぼり出して果物の質感を表現したり、ペンを併用したりと、体力や感覚の変化に伴う制作方法の工夫が見て取れるのもポイント。年齢を重ねた塔本シスコならではの、より一層濃縮した“シスコ・ワールド”を目にすることができる。
【詳細】
塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない!人生絵日記
会期:2022年2月5日(土)~4月10日(日)
会場:熊本市現代美術館 ギャラリーI・II
住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3
TEL:096-278-7500
時間:10:00~20:00(展覧会入場は19:30まで)
休館日:火曜日
観覧料:一般 1,100円(900円)、シニア(65歳以上) 900円(700円)、学生(高校生以上) 600円(500円)、中学生以下無料
※( )内は、前売券、団体割引料金。
※前売券は2月4日(金)まで販売。
※団体割引料金は次の場合に適用。20名以上の団体/美術館友の会証、各種障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等、付き添い1名も適用)、電車・バス1日乗車券等、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証を提示した人
チケット取り扱い:熊本市現代美術館、ローソンチケット“ローチケ”[Lコード:82308]、セブンチケット[セブンコード:092-351]
※展覧会や関連イベントの中止、開催内容の変更、入場制限等を行う場合あり。詳細と最新情報は美術館ホームページを確認。
■巡回情報
・岐阜県美術館
会期:2022年4月23日(土)~6月26日(日)
住所:岐阜県岐阜市宇佐4‐1‐22
・滋賀県立美術館
会期:2022年7月9日(土)~9月4日(日)
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
・世田谷美術館〈終了〉
会期:2021年9月4日(土)~11月7日(日)
住所:東京都世田谷区砧公園1-2