メゾン キツネ(MAISON KITSUNÉ) 2021年春夏メンズ・ウィメンズコレクションから、シーズンごとにゲストデザイナーを招く、新たな試みをスタート。記念すべきファーストゲストとして迎えたのは、アレキサンダー ワン(alexanderwang)やジバンシィ(Givenchy)でデザインディレクターとしての経験を積んだ、マーカス・クレイトンだ。
マーカスが思い描いたのは、東京とパリ、2つの都市のスタイルを融合させること。ブルジョワ的なパリのプレッピースタイルと、日本のクールで機能的なストリートウェアを、絶妙なバランスでミックスさせることで、ブランドの持つフランコジャポネ(Franco-Japone)のエッセンスを再解釈するアプローチへと乗り出した。
コレクションに溢れるのは、性差を感じさせない、ジェンダーレスなシルエット。東京のストリートファッションの前進性に、パリのノンシャランな雰囲気を加えたような、心地の良いリラクシングなムードが漂っている。
一方でアイテムひとつひとつに目を向けると、クラシックなトレンチコートや、ストライプのラグビーポロシャツ、ユニセックスのマキシシャツなど、フランスの上品なウィーケンドスタイルがベースであることに気付かされる。そこにゆったりとしたフォルムはもちろん、ワークウェアのコットンや、ワックス加工のギャバジンなど、日本のストリートシーン特有の素材をドッキングさせることで、東京とパリを繋ぐ新たなファンタジーを描いている。
オーセンティックなカーキやベージュ、キャメルに差し込まれたのは、心躍るカラフルなパレット。ゆったりとしたジャージパンツには、異なるカラー×ピッチが行き交うカラフルなラグビーシャツをインサート。
またクラシカルなチェック柄のロングコートの下には、トリコロールカラーのジャージウェアを差し込んだ。意外性のあるスタイリングながらも、足元はクリーンな白スニーカーを合わせたことで、ラフになりすぎない、絶妙なバランス感を維持している。
今季のコレクションを語る上で欠かせないのが、象徴的に取り入れられたヘッドウェアだろう。つばの広いバケットハットを主役に、キャップとレイヤードしてみたり、シルエットを変形させてみたり…と、自由なスタイリングが提案されている。中でも印象的だったのは、バケットハットの上から、ヴィンテージ風のスカーフをぐるりと巻いたルック。まるでクラシック映画の登場人物のように、上品な佇まいを魅せるその姿は、心躍るレトロフューチャースタイルを感じさせてくれるようだ。