ヒロコ コシノ(HIROKO KOSHINO) 2021年春夏コレクションが、2020年10月15日(木)に発表された。テーマは、“Surreal inhabitants(シュールな住人たち)”。
“シュールな住人達のファンタジー”を描いたという今シーズンは、実に楽し気で、プレイフルなムードに満ちている。イエローやピンク、ブルーなど、自由でカラフルなカラーメイクを楽しむ“住人”たち同様、コレクションに行き交うのは、まるで規則のない多彩なカラーパレット。好きな絵の具を大胆にミックスしたようなドレスには、丸く繰り抜いた図形的な袖口を組み合わせることで、“どこか違う世界”の洋服を見ているかのような、ファンタジックなムードを纏っている。
そんな自由なパレットと呼応するように、様々な素材も散見された。透け感のあるシフォンのトップスや、レースを贅沢にあしらったジャケット、春夏らしいコットンのTシャツなど。そんな中でも特に印象的だったのが、“ニット”を使用したワードローブ。さらりと羽織ったタンクトップやビキニといった、春夏ならではのスタイルは、カラフルなニットで再解釈。また足の“半分”まで覆ったユニークなソックスも、鮮やかなニット共に提案された。
自然界の生命が息づく春夏の訪れを祝して、植物や動物といったモチーフもコレクションに彩りを添えている。ショート丈のニットウェアのショルダー部分には、鮮やかな羽根を持つ不思議なインコをデコレーション。またメッシュのような、網目模様が目を惹くミニドレスには、カラフルな木を生い茂らすことで、森を彷彿させる生き生きとしたビジュアルに仕上げた。
ラストに現れたのは、胸元に大きなリボンを飾ったロマンティックなドレス。床をなぞるほど長いプリーツ入りのスカートは、しっとりとした落ち感のある生地も相まって、エレガントな佇まいをみせている。しかしひとたびモデルがぐるりと回ると、その豊かな布地は命を得たように広がり、ドラマティックな表情をみせる。そのシルエットは、フェミニンな要素の中に潜む、力強さを感じさせてくれるものだった。