2013年3月19日(火)、アンリアレイジ(ANREALAGE) 2013-14年秋冬コレクションが発表された。10周年を迎えたアンリアレイジ。既存の色の概念を打ち破り、予想を大きく超えた方法でコレクションを披露した。
特筆すべきは、光によって色を変える特殊な染料を用いた色の表現。最初は真っ白であったウェアは、強いライトにさらされると次第に色を変え、全く違ったカラーに変化する。そう、太陽の下で、洋服が色を変えるのだ。
ショーの序盤は、ザーという砂嵐のようなホワイトノイズが流れ、完全に白黒モノトーンのルックが続く。アーカイブであるパッチワークも、完全にモノクロに。徐々に水玉、千鳥、チェック、迷彩などの、パターンの一部だけがカラーリングされ、徐々にコレクションは色数を増していく。
しかし、驚くのはここからだった。一旦カラフルになった流れが一転し、漂白されたように白い、白衣のようなロングコートを着たモデルが登場。ライトの下にモデルが立ち、台座がゆっくりと一回転すると、真っ白だったはずのコートがぼうっと色をまとい出した。観客は一同に、自分の目を疑ったことだろう。瞬く間にポケット、襟、ボタンなどパーツによって、浮き上がるように着色されていく。ロングコートの胸ポケットに描かれたのは、3原色をモチーフにした花だ。
フォトクロミックという特殊な分子を、染料にしたり、糸やプリントに用い、この不思議なテキスタイルを開発した。今回の試みについてデザイナー森永邦彦は「今までは、例えば人体や解像度など、形をいかに壊すかという挑戦を続けてきた。しかし、色も形と同じくらい重要なもの。その形のない『色』を壊すことができないかと考えました」と語った。