展覧会「クールベと海 展──フランス近代 自然へのまなざし」が、東京のパナソニック汐留美術館にて、2021年6月13日(日)まで開催される。なお、4月28日(水)から臨時休館していたが、6月1日(火)より再開する。
19世紀フランスで活躍したギュスターヴ・クールベは、“前衛的”な画家として知られる。対象を理想化したり想像上のものを描いたりする伝統的な美術に反発したクールベは、自らの目で見た「あるがまま」の現実を描く“写実主義”の絵画を手がけ、そして時に政治体制の批判などを含む作品を発表し、人びとの注目を集めたのだった。
その一方でクールベは、故郷であるフランシュ=コンテ地方の森や、フランス北部のノルマンディーの海を繰り返し取り上げた。展覧会「クールベと海 展──フランス近代 自然へのまなざし」では、クールベが手がけた海などの風景画とともに、モネやミレーといった画家の作品も含めた約60点を通して、クールベの作品の独自性と同時代性を浮き彫りにする。
フランスとスイスの国境に広がる渓谷で育ったクールベにとって、海は身近なものではなかった。しかし、1841年に初めて海を目にし、広大で、また変化してやまないその姿に魅了され、そして1860年代のノルマンディー地方・エトルタ滞在以後には、海の情景を多数描くこととなる。本展では、《波》や《エトルタ海岸、夕日》など、躍動感に満ちた多彩な海の絵画を展示する。
18世紀ごろまでの西洋絵画において、風景画は、古代ローマを思わせるイタリアの風景など、理想化された情景を扱ってきた。しかし19世紀に入ると、画家は身近な風景を描くことを試みた。クールベはその代表的な存在であり、故郷の自然や狩猟を主題に作品を多数残した。《フランシュ=コンテの谷、オルナン付近》や《狩の獲物》などの作品からは、いきいきとした自然に注がれるクールベのまなざしを感じられるだろう。
伝統絵画において、海は物語や比喩と結びつけられ、あるいは人の力の及ばぬ存在として扱われた。しかし19世紀に入ると、海の捉え方も変化した。19世紀半ばに鉄道網が発展すると、ブーダンの《浜辺にて》などに見るように、海はレジャーの場としても描かれることとなる。本展では、モネ《アヴァルの門》といった海の絵画を展示することで、伝統絵画とも同時代のほかの画家の作品とも異なる、クールベ独自の視点に光をあてる。
展覧会「クールベと海 展──フランス近代 自然へのまなざし」
会期:2021年4月10日(土)〜6月13日(日)
※4月28日(水)〜5月31日(月)は臨時休館
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック 東京汐留ビル 4階
TEL:050-5541-8600 (NTTハローダイヤル)
開館時間:10:00〜18:00
※6月1日(火)以降の土・日曜日は9:30開館、6月5日(日)〜6月13日(日)は19:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:水曜日(ただし6月1日(火)以降は水曜日も開館)、臨時休館期間
入館料: 一般 1,000円、65歳以上 900円、大学生 700円、中・高校生 500円、小学生以下 無料
※障がい者手帳の提示者、および付添者1名まで無料
※予約サイトにて日時指定の予約をした人を優先的に案内、事前予約の予定数に空きがあれば予約していない人も入館可(詳細は美術館サイトを確認)
※最新情報については美術館サイトを確認のこと
■終了した会場
・山梨県立美術館
会期:2020年9月11日(金)〜11月3日(火・祝)
住所:山梨県甲府市貢川1-4-27
・ふくやま美術館
会期:2020年12月19日(土)〜2021年2月21日(日)
住所:広島県福山市西町2-4-3