企画展「カナレットとヴェネツィアの輝き」が、静岡県立美術館にて、2024年7月27日(土)から9月29日(日)まで開催される。その後、東京のSOMPO美術館、京都文化博物館、山口県立美術館に巡回する。
18世紀イタリアを代表する画家カナレットは、出身地ヴェネツィアの都市景観を精緻に描きだした風景画「ヴェドゥータ(景観画)」でよく知られている。企画展「カナレットとヴェネツィアの輝き」は、カナレットを大きく取り上げる日本初の展覧会。カナレットによるヴェネツィアの風景画を展示するとともに、その制作の背景、後世の画家への影響を紹介する。
カナレットの風景画は、グランド・ツアーでヴェネツィアを訪れたイギリスの人々に愛好された。グランド・ツアーとは、上流階級の師弟たちが教育の仕上げに経験する大陸旅行、とりわけイタリア滞在のことである。イタリア各地を訪れた当時の旅行者にとって、ヴェネツィアを描いた風景画は、旅の貴重な記録であった。こうしてイギリスにもたらされたカナレットの作品は、ヴェネツィアの華やかなイメージをアルプス以北へともたらすことになった。また、カナレット自身もイギリスに赴き、多くの作品を手がけている。
本展では、主にイギリスに残されたカナレットのヴェドゥータより、主要な作品を紹介。華やかな祝祭を描いた《カナル・グランデのレガッタ》や《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》、静かな眺めを切りとった《サン・ヴィオ広場から見たカナル・グランデ》といった風景画を展示する。
また、カナレットのヴェドゥータに連なる風景画の展開にも着目。カナレットの甥にあたるベルナルド・ベロットやフランチェスコ・グアルディなど、カナレットの次の世代の画家に加えて、18世紀後半のイギリス人画家によるヴェネツィアを描いた作品を通して、カナレットの独自性と影響を浮かびあがらせてゆく。
カナレットの風景画によって伝えられたヴェネツィアのイメージは、19世紀の画家にも影響を及ぼすこととなった。実際、ウィリアム・ターナーやジェームズ・ホイッスラーをはじめ、多くのイギリスの画家がヴェネツィアを訪れている。こうしたなかで画家たちは、ヴェドゥータの伝統から離れ、独自の視点からヴェネツィアの景観を描いてゆくようになった。本展の終盤では、クロード・モネの《パラッツォ・ダーリオ、ヴェネツィア》などの風景画を目にすることができる。
企画展「カナレットとヴェネツィアの輝き」
会期:2024年7月27日(土)~9月29日(日)
会場:静岡県立美術館
住所:静岡県静岡市駿河区谷田53-2
開館時間:10:00~17:30(展示室への入室は17:00まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌火曜日に休館。ただし8月13日(火)は特別開館)
入館料:一般 1,500円(1,300円)、高校生・大学生・70歳以上 800円(700円)、中学生以下 無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
■巡回情報
・東京会場
会期:2024年10月12日(土)〜12月28日(土)
会場:SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1)
・京都会場
会期:2025年2月15日(土)〜4月13日(日)
会場:京都文化博物館(京都府京都市中京区三条高倉)
・山口会場
会期(予定):2025年4月24日(木)〜6月22日(日)
会場:山口県立美術館(山口県山口市亀山町3-1)
【問い合わせ先】
静岡県立美術館
TEL:054-263-5755