ロエベ(LOEWE) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月28日(金)フランス・パリで発表された。テーマは「ファッションと遊ぶことを愉しむ」。
ジョナサン・アンダーソンによるエッジィなアイディアをきかせたデザインは、今季も健在だった。コレクションでは、ボリューミーなシルエットを生み出すアプローチをあらゆる角度から模索。ジャケットやドレス、ブラウスといったオーセンティックなアイテムが、斬新なディテールの採用によって、あらゆる方向に膨らみを持たせているのが印象的だ。
例えば、裾に向けてバルーンのようなふくらみを持つエレガントなドレス。前から見るとさほど違和感はないのだが、モデルが後ろを振り返ったときにそのシルエットの種明かしが明らかに。
バックから布地を絞るようにして吊り上げられたそのスカートは、自ずと裾が持ち上がり、まるで無重力の中で浮遊しているかのよう。モデルが歩くたびに、ふわりふわりと揺れる独特なボリューム感を生みだしている。
また前シーズンに続き、クリノリン風のパーツをスカートの下に組み込むことで、サイドへのボリュームを待たせるピースも散見された。
こうしたサイドへと目を向けたアプローチの中でも、ひと際目をひいたのは、煌めく装飾付のベルスリーブのニットと組み合わせたワイドパンツ。そのゆったりとしたレングスよりも先に目が行くのは、サイドへと大胆に拡張させた履き口だ。たっぷりととった布地を従来のウエストの位置でつまみだすことで、羽根のようにパタパタと揺れ動くユニークな表情を作り上げた。
ロエベならではの上質なレザーを取り入れたアイテムにも注目したい。中盤に現れた淡い水色ジャンプスーツは、サイドのラインやスポーティーな縦襟にレザーを採用することで、ラグジュアリーなストリートウェアへと昇華。
また日本人の陶芸家・桑田卓郎(※)とのコレボレーションピースとなる、フロントを丸っとくり抜いた特徴的なドレスには、スタッズをあしらったレザーのパネルを配置。それはまるで洋服の真髄には、常にクラフトマンシップが存在していることを意図しているかのようだ。
※ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018の特別賞受賞者。
なおランウェイには、レザーを使用したアクセサリーも続々と登場。リボンをアクセントにしたコンパクトなショルダーバッグや、スエードやカーフを使用した新作「ハンモックバッグ」をはじめ、煌くジュエリーを飾ったヒールシューズなどが展開された。