サスペンス映画『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』が、2020年11月13日(金)に全国ロードショー。綾野剛×北川景子が刑事役を務める。
原作は、デビュー作『さよならドビュッシー』で、“このミステリーがすごい!大賞”を受賞した、中山七里のクライム・サスペンス小説『ドクター・デスの遺産』だ。2人の刑事が謎の連続不審死事件を追うストーリーのテーマは、「安楽死」。“どんでん返しの帝王”の異名を持つ中山ならではの、予測不可能な展開でも話題をさらった作品だ。
犬養隼人(綾野剛)
主人公の警視庁捜査一課の敏腕刑事・犬養隼人には、綾野剛が抜擢。『新宿スワン』『楽園』といった話題作に出演する綾野だが、本作では、犯人に心を惑わされつつも連続猟奇殺人犯に挑む。
高千穂明日香(北川景子)
犬養のバディである、冷静沈着な刑事・高千穂明日香役には、『ファーストラヴ』の公開を控える北川景子。部下でありながらも、綾野が演じる犬養を冷静に、ある時は呆れながら、ある時には乱暴に扱いながら見守る。
沢田(岡田健史)
綾野・北側演じる2人の刑事とともに捜査に加わる生真面目な若手刑事・沢田を演じるのは、ドラマ「中学聖日記」で一躍注目を集めた岡田健史。綾野演じる犬養の捜査方法に疑問を抱きつつも、北川演じる高千穂のフォローもあり、謎の連続殺人犯<ドクター・デス>を若さあふれる方法で追い詰めていく。
さらに、前野朋哉、青山美郷、石黒賢ら実力派俳優陣も、警視庁敏腕捜査チームとして脇を固める。
なお監督を務めるのは、『神様のカルテ』「チェイス」など、人間ドラマからサスペンスまで幅広い作品を手掛けてきた深川栄洋。本作では、安楽死を手口とする連続殺人犯と刑事の、息もつかせぬ攻防戦をスリリングに描き出す。
主演を務める綾野剛と、共演の北川景子にインタビューを実施。「安楽死」を手口とする連続殺人犯を追う『ドクター・デスの遺産』で、演技において意識したことやお互いの存在、そして観る人へのメッセージを中心に話を伺った。
本作は「安楽死」を手口とする連続殺人犯を追う映画でした。緊張感に満ちた『ドクター・デスの遺産』を演じることが決まったとき、どういったことを考えましたか?
綾野:「禁断の題材」にふれていくのだなという感覚がありました。同時に、安楽死の是非を僕たちは問えると思っていないし、それを明言することもできないけれども、“善悪”の観点から安楽死を見つめてはいけないとは感じました。
北川:安楽死を題材にしているということは、すごく難しい挑戦になるだろうという思いがまずありました。やはり、覚悟して望まなくてはいけない脚本です。他方で、安楽死については100人いれば100の考え方があるはずなので、『ドクター・デスの遺産』は、ご覧になった方にとって考えるきっかけとなり、問題を投げかけるものになるだろうと思いました。
観る人はそれぞれで多様な捉え方をするだろうと。そのような作品を演じるうえで、意識したことは何でしょう?
北川:『ドクター・デスの遺産』では、台本に描かれていない空気感や余韻が大事になるはずです。だからこそ意識したのは、物語の“余白”の部分。
わたし自身の台詞でない部分や、ある場面と別の場面の間にあったであろう会話を想像することで、わたしたちが本当に作品の中に息づいているのだという“リアルさ”を追求しました。
綾野:この映画は、安楽死を装って殺人を犯した実在の医師をモチーフにしています。対・安楽死の題材のお話というよりかは、あくまでそれを模倣している犯人のお話。
その際、被害者である残された遺族は、自分は被害を受けていないと思っているので、被害者なき殺人というわけです。だから、自分たちは何と戦っているのか、正義がまったく通用しない。自分たちはどう立ち向かったらいいのかという境地に立たされるのです。そういった陰影に富んだ難しい部分を、北川さんとバディとして向き合う姿勢を追求しようと思いました。
バディを組むなかで、綾野さんと北川さんはお互いにどういった存在でしたか?
綾野:とにかく“信頼と安心”。それ以上の言葉は正直僕自身にとっては陳腐ですね。言葉を尽くして相手に伝えるということが、実は共演で一番難しくて苦しい作業なのです。
北川:でも、ここはこういうことを伝えたいシーンだと思うからこうしようか、という話はひとつもしていません。説明がいらない間柄でした。最初にお芝居をしてみて、パッと見て綾野さんが納得していそうなときには、お互いにこれで良かったのだと思いますし、逆にわたしが「うーん?」と思うときには綾野さんも納得していないふうですし。じゃあそこからどうするのかということも、綾野さんを見ていると自然とわかるのです。
綾野:そういうふうに相手を見る作業は、相手に対するリスペクトと信頼がなければ生まれません。どんなに技術的にお芝居がうまい人でも、信頼がなければ絶対にそうはなりません。そう思える人がいることは、僕自身が俳優を続けるにあたってコアになる部分なので、とても素敵なことです。