リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)の2020年春夏コレクションが、2019年11月9日(土)、東京・上野恩賜公園で発表された。
リトゥンアフターワーズがランウェイ形式のショーを行うのは2年振り。今回は国立博物館を正面に臨む上野恩賜公園・噴水広場を舞台に、一般客も観覧自由のオープンなショーを披露した。
今季のテーマは“フローティングノマド”。“浮遊”と“遊牧民”を意味するワードを掛け合わせたユニークなテーマを表す、アーティスティックなピースを展開した。
浮遊感を表現すべく使用した特徴的な素材が“綿”。衣服には普段あまり使われることのない素材を服作りに取り入れることで洋服の新しい表現方法を提示した。常に前衛的な服作りを続けるリトゥンアフターワーズらしい試みだ。
また、通常のパターニングに使用する何倍もの生地量からスタートし、徐々に削り出していったボリューミーなシルエットも目を惹く。何かに縛られたり、囚われたりしない、ゆらゆらと自由に“浮遊”する物体の様相がそこには表れていた。
登場するルックの中で多く見られたのがチェックのパターン。「日本人が潜在的に好むチェックというパターンをいつか大々的に使ってみたかった。」と語るデザイナー・山縣本人も好きな、オーセンティックな柄をアイテムの随所に取り入れている。
格子の大きさ、チェックの柄の構成の仕方は様々。山縣が今季のコレクションを制作するにあたり考えたという“ダイバーシティ”のマインドを反映した。
リトゥンアフターワーズの作るプロダクトの特徴として常に存在するのが、“着る”という目的に留まらない洋服であるということ。今季のコレクションで最もその特徴が顕著に表れていたのが、モデルと並んでランウェイを闊歩した“着ぐるみ”だ。“もくもくさん”“藁人形”“パッチワーク”と名付けられたそれらの着ぐるみは、今季の特徴的な素材を用いて模った。
そのほかにも、モデルたちの頭上にはアートピースのようなモチーフを乗せたりと、新しいカタチのファッションを随所で表現。ショーの後「今後も新しい事をやっていきたい」と気概を覗かせた山縣の今後のクリエイションに期待したい。