ミキオサカベ(MIKIO SAKABE) 2020春夏コレクションが、2019年10月18日(金)高田馬場・ゲーセンミカドで開催された。
久しぶりのショー開催となるミキオサカベが、会場に選んだのは高田馬場駅から徒歩五分圏内に位置するゲームセンター。ひっそりと佇む店舗に一歩足を踏み入れると、そこには昭和の空気漂うレトロなゲーム機がずらりと並んでいる。懐かしさ溢れるその空間には、ショーを一目見ようと駆け付けたファッショニスタたちでひしめき合う、なんとも不思議な光景が広がっていた。
ショーの合図と共に、その古びたゲームセンターは、たちまちランウェイへと姿を変えた。「今季はシューズを主役にした」とデザイナーの坂部三樹郎が語るように、まず観客たちの目に飛び込んでくるのは、超厚底ソールのスニーカーやスポーツサンダル。クリア素材で仕上げたソールは、落ち着いたトーンのアッパーとは異なる、ピンクやブルーといったブライトカラーを採用したことで、よりその存在感が引き立てられている。
視線を足元から上へとずらしてみる。コレクション全体は、ホワイトカラーを中心に、シアーなテクニカル素材で仕上げた、ドレスやアウター、パンツなどが登場する。服の色味を押さえた分、そこに“かわいい”要素として取り入れられたのは小花模様。ブルーやオレンジ、イエローといった、あくまで淡い色彩の花々が、パンツやビスチェの上で可憐に咲き誇っている。
洋服1つ1つのシルエットは、無駄のないすっきりとしたラインが多い。一見ボリューミーに見えるジップ付きブルゾンも、よく目を凝らしてみると、その独特なフォルムのほとんどが“ジップ付きポケット”であることに気付かされる。前身頃、スリーブなど至るところにあしらわれたそのポケットは、ジップを開いてみたり、あえて袖をまくって潰すことで、より自由な姿へと変形していく。
無駄な装飾を押さえたシンプルなワードローブも、ディテールに一捻り。白のドレスは、まるでランジェリーを纏って見えるかのようなカッティングを施しているのが面白い。
またシャツ地でふんわりと仕上げたプルオーバーは、蛍光色のピンクやグリーンのドローコードをアクセントにあしらって、スポーティーなテイストをプラスしていた。