ルメール(LEMAIRE)の2020年春夏コレクションがフランス・パリで発表された。ウィメンズと共に、メンズのピースもショー形式で披露。
今シーズンのショーは、パリの空模様を反映したかのような雨音、そして雷の音が鳴り響き渡るとともにスタート。コレクションは漆黒の世界からはじまる。ファーストルック、その次、またその次…と現れるモデルたちは皆、オールブラックのスタイルで立て続けに登場するのだ。その数は40体あるルックの半数にもおよぶ。クリストフ・ルメールが得意とする柔らかなニュアンスカラーは息をひそめた。
黒という色が持つ重たい印象も、ルメールの手にかかれば、軽やかでクリーンな印象に。また、続々と顔を出すオールブラックのルックは素材やシルエットを変え、決して単調になることなく豊かな表情を覗かせている。
たとえば、ふっくらとしたシルエットのスカートには、光沢感のあるピンストライプのファブリックを採用。それに合わせたタンクトップは前方から見るとミニマルなデザインだが、バックは背中を大胆に開けたクロスストラップ仕様になっており、洗練されたフェミニティを感じさせる。
小物類にも注目。ストラップサンダルや、ウッドビーズのハンドバッグ、ビッグサイズのホーボーバッグなども、オールブラックコーデをエフォートレスなムードに導くのに一役買っている。
中盤からラストにかけては、ベージュやカーキなどルメールらしい優し気な色彩が現れる。アウターの中でもひと際目を惹いたのがトレンチコートだ。それらは日常生活に自然に溶け込むようなベーシックウェアであるのに間違いないのだが、バックスタイルに深いスリットが入っていたり、風を優雅に受けてなびくテキスタイルで仕立てられていたりと、袖を通す人々の動きまで計算しつくした、ルメールの手腕が光るピースであった。