パリファッションウィークで発表されたカルヴェン(CARVEN)の2013年春夏コレクション。今季のミューズはジョージア・エンゲルハード(Georgia Englehardt)。写真家のアルフレッド・スティグリッツの姪であり、アートに囲まれて育った彼女は、登山家としても知られている。自由で冒険心に溢れたジョージアの、洗練されたスタイルがインスピレーション源だ。
必要なものだけを持って旅をした彼女のスタイルにならい、今までになくシンプルで、そぎ落とされたデザインで展開。建築家 エクトール・ギマール(Hector Guimard)などのアールヌーヴォーの影響がみられる曲線が、波打つスカートの裾のラインやフロントのカッティングに活かされている。カラーパレットはアーティスティック・ディレクターにギョーム・アンリがインドへの旅行した際に見つけた、植民地時代の写真からのイメージ。ニュートラルカラーの中にポピー(オレンジ)やルビーがアクセントになった。
パナマのような質感の生地やリネン、カットワークに加えてヒートプレスによって立体感を出したレザーなど、クチュールブランドとしてのこだわりがみてとれる上質な素材を使用。50年代風の構築的なシルエットは、そのハリのある素材感と巧みなパターン構成によってかたちづくられた。また、トワレドジュールの生地にはキリンなどサバンナの動物と共に、探検隊の姿が描かれている。キュートでありながらタフな側面も持ち合わせた、コントラストのある女性像を意識したデザインだ。
アクセサリーも豊富に展開。アールヌーヴォー風の大きなプレートのネックレスはユニークで魅力的。靴は人気のロベール・クレジュリー(Robert Clergerie)とのコラボの他、エレガントなパンプスやサンダルが揃う。ベークライトを使った蝶の形のバッグや、旅先からの手紙に貼る外国の切手をモチーフにしたバッグ、コロニアルな雰囲気のカゴとレザーのバッグなど、バッグのバリエーションも増えたのが嬉しい。