世界で最も影響力のあるアーティストのひとり、デヴィッド・リンチの大規模展覧会「デヴィッド・リンチ展~暴力と静寂に棲むカオス~」が、2012年11月10日(土)から12月2日(日)までラフォーレミュージアム原宿で開催される。
デヴィッド・リンチ本人のサポートのもと、彼が制作した絵画32点、ドローイング9点、写真34点、計75点のアート作品(このうち72点が日本初公開)と実験的な短編映画5本(このうち1本が日本初公開)を展示・上映。絵画作品の展示スペースと仮説のシアターを入れ子構造で組み入れるという迷宮的構成となっている。
デヴィッド・リンチと聞いて、まず思い浮かぶのは映像作品だろう。社会現象を巻き起こした「ツインピークス」(1990年-91年)をはじめ、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した「ワイルド・アット・ハート」(1990年)、同じくカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した「マルホランド・ドライブ」(2001年)、2007年度全米批評家協会賞実験的映画賞を受賞した「インランド・エンパイア」(2006年)など、映像製作における彼の作品と功績を挙げようとするなら、枚挙に暇がない。
しかし、彼の真価はそれだけにとどまらずカルティエ現代美術財団(フランス)やマックス・エルンスト美術館(ドイツ)で大型の個展を開催。美術界での評価がますます高まるなか、2010年には今までの長年にわたる創作活動の業績を称えられ、美術界において権威ある「Goslar Kaiserring award for 2010」を受賞。これらが象徴するように、アート作品の制作は、リンチにとって映画製作とまったく同様の強度で行われている表現だ。
彼が「絵画」と「映像」に横断しながらも、一貫して描き続ける“深層心理の潜在的ヴィジョン”。こうした側面にアプローチする本展で、彼の表現世界の本質へと足を踏み入れよう。
左) 『BOB'S SECOND DREAM』
右) 『POLAND FACTORY 04』
For all artwork: copyright David Lynch
All photos were taken by Robert Wedemeyer.
【展覧会詳細】
デヴィッド・リンチ展~暴力と静寂に棲むカオス~
会期:2012年11月10日(土)~12月2日(日)
会場:ラフォーレミュージアム原宿(ラフォーレ原宿6階)
入場料:一般 ¥800、学生 ¥600
※小学生以下およびラフォーレカード会員は無料
時間:11:00~20:00(最終日~18:00)
【デヴィッド・リンチについて】
画家を目指し、1965年ペンシルベニア美術アカデミー入学。フィラデルフィアにてアートを学ぶ。その後、ロサンジェルスに移り、1976年自主制作映画「イレイザー・ヘッド」を完成。この作品はカルト・ムービーの傑作として今も高い人気を誇る。その後1980年「エレファント・マン」、1986年「ブルー・ベルベット」、1990年「ワイルド・アット・ハート」(カンヌ映画祭パルム・ドール賞)を発表。1990~1991年のTVシリーズ「ツイン・ピークス」は世界的な大ヒットを記録した。2001年「マルホランド・ドライブ」ではカンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、2006年にはそれまでの業績に対してヴェネチア国際映画祭栄誉金獅子賞を受賞する。画家としては1980年代から各地で個展を開催。2007年パリ・カルティエ現代美術財団にて開催された大回顧展「The Air is on Fire」は世界的な話題となる。日本では1991年東京・東高現代美術館、2010年大阪・コム デ ギャルソンのアートスペース“Six”にて個展を開催。音楽についてもこだわりが強く、映画の中の音響や音楽はその作品世界の魅力の一部となっているが、2011年自身のヴォーカルも納めた初の個人名義のCD“Crazy Clown Time”をリリース。現在新作映画も準備中である。
【問い合わせ】
ラフォーレ原宿
TEL:03-3475-0411