展覧会「琉球 美の宝庫」が東京・サントリー美術館にて2018年9月2日(日)まで開催される。
琉球王国は、15世紀に統一王朝が成立し、400年以上にわたって東アジアを舞台に“世界の架け橋”として繁栄した王国。「琉球 美の宝庫」では、鮮やかな紅型をはじめとする染織や、中国・日本から刺激を受けて描かれた琉球絵画、螺鈿・沈金・箔絵などの技法を使った漆芸作品を中心に琉球王国の美しい名品を紹介する。
東アジア諸国の技法や素材を取り入れながら作り出された琉球の染物や織物は、王国を象徴する美の1つ。王族や貴族階層を中心に着用されたとされる紅型衣裳には、鳳凰・龍・牡丹などの大陸由来のモチーフや、松・桜・梅といった日本ならではのモチーフが鮮やかな色使いで表現されている。型紙を用いて模様を染め出す「型染め」という技法を使った、絢爛な模様が魅力だ。その他、中国や東南アジアから伝わった、細やかなデザインの絣や花織などの織物も展示される。
また、近世琉球期に描かれた「琉球絵画」にも注目だ。今回は、第二次世界大戦の戦禍を免れ、守り伝えられた優品が集結する貴重な機会となっている。
首里王府には国際的なネットワークを通じて中国や日本絵画の優れた作品のコレクションが集まっていた。そのため、工芸品や美術品を仕上げる工房を兼ねた役所である「貝摺奉行所」に所属した絵師は、中国や日本の絵画から刺激を受けながら独自の作品を製作。染織・漆芸・室内装飾のデザインも担当したといわれている。一方、「貝摺奉行所」に属さず、王府直属の宮廷画家として活躍した絵師も。自了、山口宗季、座間味庸昌といった絵師の作品を通し、琉球の絵師達の高い画力を紹介する。
海外との交易上重要な輸出品とされた漆芸品は、線を彫って金箔を埋める沈金、貝を切って文様のかたちに貼り付ける螺鈿、漆で文様を描いた上に金箔を貼る箔絵、顔料を油でといて描く密陀絵、漆と顔料をまぜた材料を貼って立体的に文様を表す琉球特有の堆錦など、様々な技法によって制作された。「貝摺奉行所」に所属した絵師が漆芸品のデザインにも携わっていたため、吉祥文や花鳥山水など、中国的なモチーフが多用されているのが特徴だ。
尚家によって統治されてきた琉球王国は、中国との貿易によって繁栄。国家の中心であった王都首里には、貿易を通してアジア諸国から影響を受けた、琉球独自の文化が形成された。また、首里城には、中国をはじめとする各地の宝物が集結。第二次世界大戦時の沖縄戦にて、首里城や沖縄文化は甚大な被害を受けるも、王国の至宝の数々は受け継がれ、現在美術工芸85点と文書・記録類1,166点が「琉球国王尚家関係資料」として国宝に指定されている。
会場には「琉球国王尚家関係資料」の中から「玉冠(付簪)」や「美御前御揃」など華やかなコレクションが登場する他、王家や首里城にまつわる資料も展示される。
琉球 美の宝庫
会期:2018年7月18日(水)~9月2日(日)
※作品保護のため、会期中展示替あり。
開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)
※いずれも入館は閉館の30分前まで ※8月14日は18時まで開館
休館日:火曜日
※shop×cafeは会期中無休
場所:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
入館料:〈一般〉当日 1,300円、〈大学・高校生〉当日 1,000円
※中学生以下無料
※障害者手帳を持参した本人と、介護の付添1名のみ無料
チケット販売場所:サントリー美術館(火曜日、展示替え期間中を除く)、チケットぴあ、ローソンチケット、セブンチケット、イープラス
※プレイガイドでの販売は一般券のみ
※ウェブサイト限定割引券提示、スマートフォンサイトの割引券画面提示、あとろ割(国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示)、20名以上の団体のいずれかの場合100円割引。他の割引との併用不可。
※あとろ割:8月24日(金)~10月1日(月)、国立新美術館で開催の「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」のチケット提示で「琉球 美の宝庫」展は100円割引になるが、「琉球 美の宝庫」展のチケットを提示しても「JOJO」展は割引にならない。