まとふ(matohu)の2017-18年秋冬コレクションが、2017年3月21日(火)東京・増上寺で発表された。
まとふがコレクション制作を通して、忘れかけた日本の美意識を現代の目線で取り上げる「日本の眼」シリーズも15回目を迎えた。今シーズンは、江戸時代、町人の間で生まれた美意識「いき」をテーマにしている。制限された当時の社会の中に存在した内に秘めたおしゃれ心と心意気がもし現代にもしあったなら…、現代の「いき」なファッションとは何だろう…、そんな想像力が今季の原動力となった。
彼らが見出した、現代の「いき」の条件は3つ。垢ぬけていること、独立心があること、色気があることだ。装飾はそぎ落とされ、女性は女性らしく個性が際立った美しい佇まいは、オリジナルのテキスタイルにのせて表現された。
江戸時代中期に流行した縦縞模様は、赤色・青色・橙色様々な色彩で描かれている。どの線も平行をたどる本来の姿とは異なり、線が進むほど細くなったり消えたり太くなったり。波のように変化するラインは、出会いや別れのある人生を比喩的に描いているという。また、縦縞同様にスッとのびた青いラインのパターンは青竹がモチーフ。日本の風景を軽くて柔らかなジャカードに落とし込み、和の心を伝える。
シルエットはゆったりとしたロングラインを基調に。ジャケットは身幅をたっぷりと取って、ボトムスはフレアなフォルムに仕立てた。コートは着物のように襟を削ぎ落として、素材・色の重なりを楽しむように異なる色柄を重ねていく。一見地味にみえる無地のコートも、風に揺れると内側から鮮やかな色や織り柄がのぞき、香り立つような色気を魅せる。
アクセントとしてレザーアイテムが起用されたのも、江戸時代が着想源だけあって斬新で心地良い。控えめなツヤのレザージャケットやパンツがコーディネートされモダンさへと繋げる。縦縞を意識して制作されたロングピアスも都会的なデザインで、凝縮された現代の美しさが投じられているように映る。