ケンゾー(KENZO)が2017年春夏コレクションをフランス・パリで発表した。
スペイン人の写実画家アントニオ・ロペスのアーカイブが基となった今シーズン。彼の作品は、ケンゾーが創立されたころのパリではアイコニックな存在で、方眼状にコラージュした写真やポラロイドは圧倒的な人気を誇っていたという。
その時代の再来を想わせる今季のランウェイ。デニムやカモフラージュ柄を採用した序盤は、ワーク、ミリタリーといった要素が押し出され、カラーもカーキ、ベージュ、そしてインディゴが主流である。
雰囲気が一変したのは、シャイニーなコラージュの登場から。バックロングのナイロンポンチョにワイドパンツを合わせたルックを筆頭に、アート作品を小さなマルで組み合わせたカクテルドレス、迷彩のコラージュプリントを施したミモレ丈のワンピースが後に続き、徐々にアートな要素が色濃くなっていく。
ナイロンはインダストリアルな独特の雰囲気を纏う。しかし、巧みな手法によってスパンコールや写真プリントとドッキングされ、ロペス人気の再来を感じさせるほどの斬新さだけでなく、女性の美しさを兼ね備えたワードローブへと昇華されている。おそらく、一貫して変わらぬ滑らかなショルダーラインのトップスとタイトスカート、そしてハイウエストのパンツによる緩急の付いたスタイリングがその理由であろう。
後半は、煌びやかなルックが登場する。スパンコールとラメを用いたミラーボールのようなボディコンシャスなドレスがフィナーレを飾った。それは、ケンゾーがパリで旋風を巻き起こした1970年代のディスコを想わせる自由奔放なファッションへの回帰である。