マルベリー(MULBERRY)の2017年春夏ウィメンズコレクションを紹介する。
クリエイティブ・ディレクター ジョニー・コカが作る、2017年春夏シーズンは、マルベリ―の発祥地であるイギリス・サマセットが舞台。リンゴの名産地で「シードル」が有名なこの伝統ある地に、ロンドンの要素を掛け合わせて、イギリスという一つの国に潜む相反する要素や各々へのリスペクトの精神を具現化させた。
クリエーションの基盤となったのは、イギリスを代表する制服の数々。「ユニフォームの国」との愛称を持つこの都市には、地域や職業、年代などに応じたユニークな装いが存在する。
40年代、ランドガールと呼ばれた農婦には「ユニフォーム」があった。穀物や農作物を想起させるようなオークやカーキといった色彩を彼女たちの装いから真似て、また作業着となるサロペットやエプロンにはフリルをあしらってモダンウェアへと昇華させた。また、有名大学が密集する特有の地域性は、カレッジ風のストライプ模様で表現する。ネイビーやえんじ色の縦じまが、流れるようなシルクや爽やかなニットに織り込まれ、ファッションの世界に知性を投じる。
日本でも有名なスコットランドキルトは、軽快なシルクドレスへと形を変え、英国紳士が纏うガウンからペイズリー柄をつまみ取ってシーズンルックへぶつけた。小花柄のプリントによって再現された、お茶会となるガーデンパーティーのシーンはドレスの中で優雅な宴として花開く。