アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)の2016年秋冬メンズコレクションは、“個性”という概念を重視しながら、ユースカルチャーと密接な関係にある仲間と群れをなす“族”的な視点も捉えたコレクション。
“Not for Drugs”、“Girls Girls Girls”などの激しいフレーズの刺繍やパッチワークを、ジャケットの内ポケットなどわざと目立たない場所に施したり、アメリカのシェフが履いているようなシルエットのパンツにカモフラージュ柄に”STRICT”という刺繍を施すことでクラシックな職人のワークウェアを皮肉ったり。ブランドらしく昔のヒップホップカルチャーやストリートカルチャーを重要視するが、そこに現代風にアレンジを加えることでバランスを保つアイデアを垣間見ることができる。
さらに、ブラックとネイビーの水玉のコーチジャケットはラグジュアリーとワークウェアをハイブリッドし、シャツ、テーパードパンツと合わせても違和感はまるでない。さらに、フィールドジャケットなどの定番アイテムをラグジュアリーな素材でアップデートし、平凡なTシャツと合わせ、洗練された部分と抜け感を両立するスタイリングを提案していた。
2つの相反する要素の共存を可能にする役割として、足元にも注目したい。スエードのハイトップスニーカー「Perry」や、ウォーターレジスタントで光沢を持つ印象の強いブーツ「Drew」は、ラグジュアリーすぎず、カジュアル過ぎないようにバランスを見てスタイリングされていた。