人気漫画『テラフォーマーズ』が実写映画化。2016年4月29日(金)より全国で公開される。
21世紀、人口爆発を迎えた人類は、コケと<ある生物>を送ることで‟火星を地球化”させる火星移住計画を企てた。それから500年後となる2599年。簡単な作業・高額なギャラを目当てに集まった15人の隊員が、<ある生物>の駆除をミッションに掲げ、火星へと向かった。
彼らを出迎えたのは、人型に異常進化した<ある生物>=テラフォーマー(驚愕生物)。凶暴な奴らは、次々と隊員たちに襲いかかり、絶体絶命な事態に…。
しかし、隊員たちにはある秘密が隠されていた。それぞれの身体には、昆虫の特性を反映させた特殊能力が埋め込まれていたのだ。果たして人類は、自ら生み出してしまった想定外の生物に打ち勝ち、生きて地球へ帰ることができるのか。
主人公は、海猿シリーズでヒットを飛ばした伊藤英明。幼馴染・奈々緒役には武井咲、山下智久、山田孝之、小栗旬…と豪華俳優陣が脇を固め、驚異的なアクションシーンを届ける。監督は、『悪の教典』『藁の楯』の三池崇史。人類対最強最悪の敵による未来をかけた戦いをスクリーンで描く。
お話をいただいたときは、原作を知らなかったので、すぐに手に取り読み始めました。
初めは、ものすごくエネルギーがあって、アイデアがつまった作品だなという印象。読み進めるにつれて、近未来のノンフィクション映画なのかな?とも思えてきて。いずれ火星移住計画だとか、なきにしもあらずなんじゃないか…と、すごく想像力を掻き立てられましたね。
三池監督が撮影するということで、ぜひ参加させていただきたいなと思うと同時に、撮影するとなったら「日本でどうやって撮るのだろう?」という疑問もありました。
『テラフォーマーズ』はフルCG作品なんですね。ずっとブルーバックにしたスタジオ撮影で、赤れんがをつぶして床にしきつめて火星を表現していました。
アクションシーンは、僕だったらオオスズメバチ、山下さんだとバッタ、それぞれ虫の特性を感じさせる殺陣の動きをまず殺陣師と作って、監督に見せながら打ち合わせをしていきます。主人公の小吉は、空手をやっているというバックボーンを持っていたので、力強く可憐にというイメージで、パンチ中心の動きをしていきました。
初めは、着ぐるみを着たスタントの方をテラフォーマに見立てて、動きをあわせていくんですけど、本番は敵がいないなか、殴るのも殴られるのも避けるのも、すべて自分で演じなくてはいけない。振付・ダンスとは異なるので、力をこめなくてはいけないんですよね。そこが難しくて。
とにかく、同じカットを何回も何回も。あとでCGと合体させたときに、素材のバリエーションがあるに越したことはないので、最低でも4回くらいは同じシーンを撮影しました。
(敵が見えない状態なので)本当に何を撮っているかわからなくなるんですよ。山下さんや小池さんとは一緒に撮る場合もあるんですけど、別々での撮影が多く、みんな何が正解で間違っているのかわからないまま。初めての感覚ですよね、出来上がるまで誰も完成形がわからないっていうのは。
『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』『悪の教典』『喰女 -クイメ-』に続き、三池監督とのタッグは4度目。『悪の教典』では、『海猿』シリーズで築いてきたこれまでのイメージを脱し、サイコパスを持った殺人鬼を演じた。
普段の作品だったら台本があって、その通りに進んでいくんですけど、今回はぜんぶ絵コンテがベース。次はこういう動きだよっていう指示とともに、絵コンテを埋めていくって作業でした。演じているというよりははまっていく。パズルを一つひとつはめていく、そんな感覚に近いんじゃないかな。
2時間メイクをして撮影は5分。その後は、他の人が撮影しているので待って…って繰り返しでした。
最初は面白いんですけど、お昼もメイクしたままなので、もたれかかれないし寝れないし、一種の修行みたいな感覚でしたね。ふっと力抜くと突然痒くなってきたり(笑)。でも楽しかったですよ、想像できない世界だと思います。
山下さんなんて上半身は実写なんですけど、下半身はフルCGなので、現場では常にブルーのタイツを履いていて。進化するたびに衣裳は重くなっていきますし。体感で20キロ以上はあったと思います。
衣裳そのものも10キロくらいあって、動くときも常にギブスしているような感覚。本当に体力勝負の現場です。撮影も長いですし、怪我と体調管理には気を使っていましたね。
小吉は、正義感があって、まっすぐで自制心がある男という印象。自分が抱えているものを守りたいという思いが強いなと感じていました。
ただ今回は、世界観を原作が表現してくれているので。ビジュアルにしても、原作に添うように。衣裳やメイク、宇宙船のセット、そういったものが大きな役割を担っています。
アトラクションにのっているような感覚になる映画でした。僕が学生だったら、男友達みんなで盛り上がって観たいな、こんな作品があったらよかっただろうなと思いました。
それと同時に、人気漫画がすぐ実写になったというところからは、技術の発達を感じて。映画の作り手・製作側にも興味をもったかもしれない。いまの若い子たちもそんなことを考えて観てくれるのかなと願っています。
貴家悠作・橘賢一画による原作は、『週刊ヤングジャンプ』で連載となった大ヒットコミック。 2013年「このマンガがすごい! 1位」、「全国書店員が選んだおすすめコミック2013 2位」を獲得し、総発行部数は1,600万部を越える。
それは難しいところなんですよね。原作通りにやってくれないと嫌だって方もいるだろうし。コスプレ映画ではないので、そのバランスが難しい。宇宙服だとか、変身後の姿とか特徴的な部分が、原作とあまりにも異なるとまたダメだろうし。
ただ今回は、変身するときのアイテムを変えています。原作では注射なんですけどね。
最初のプロット段階では「PG指定」が付いていたんですけど、出来上がったものを見て、幅広い年齢層に見てもらいたいということで細かい部分を変えていって。そういう面では、製作側の意図が反映されている映画になったなと思っています。