モスキーノ(MOSCHINO)の2016-17年秋冬メンズコレクションがロンドンで発表された。ギルバート&ジョージというアーティスト2人組から多大なインスピレーションを受けた今シーズンは、まるでイラストのように色鮮やか。よく見れば見るほど、2Dアートの世界を3Dであるファッションに落とし込んでいるのがわかる。
コレクションにインパクトを与えるのは、ファーストルックから登場するシャープなシルエットのスーツや、ステンカラーコート、ダウンコートなど。ビビッドな色合いに圧倒されるのはもちろん、さらに驚かされるのは、“影”をつけていることだろう。折り目や縫い目などを巧みに活用しながら、1つのアイテムの中にダークな色合いを混ぜたり、白い線を加えたりして、人口の影を作り出している。まるで絵画の世界から抜け出してきたような斬新なカラータッチだ。
また、ギルバート&ジョージの『YOUTH FAITH』という作品をモチーフに、MA-1には十字架のパッチを。他にもタイポグラフィーや幾つかのセリフとフレーズ、若い男の顔など、彼らのアートから引っ張ってきた要素がコレクションに垣間見える。
各アイテムに目を向けると、バリエーション豊富なMA-1に加え、M-65などのミリタリーブルゾンが目立つ。加えて、派手な色使いのアイテムを掛け合わせたり、パーカーにシャツを腰巻するなど、ストリートカルチャーを色濃く反映させたようなスタイルが目立つ。後半に顕著に登場する、派手に色をコラージュするパンクな色使いは、アーティストにもデザイナーにも共通する反体制的な部分を表現したそうだ。「ART FOR ALL」と題された今シーズンは、まるでギャラリーに迷い込んだようなランウェイとなった。