Y-3(ワイスリー)の2015-16年秋冬コレクションは、「飛行の歴史に対するノスタルジーと未来への展望」をテーマに、ミリタリーをヨウジ流にモダンにアレンジしたコレクションだ。
インスピレーション源は、アメリア・イアハートなどの飛行の歴史を開拓してきたパイオニアとイギリス空軍のユニフォーム。古今東西のアヴィエータージャケットのモチーフと古典的な紳士服のディテールを融合させ、さらに現代的な機能素材を駆使することで“モダン・ミリタリー"を表現している。
最初に現れたのは、全身ブラックで髪を七三分けで撫で付けた現代の空軍将校。ジャケットはピークドラペルのシングルで、パラシュートジャケットのようなストラップが縦横に装備されたデザインが特徴となっている。パンツは腰から太もも部分にゆとりを持たせたキャロットシルエットで、ブーツはミリタリー風のコンバットタイプだ。ショー中盤まで続く黒のルックは、テーラードを機能素材とミリタリーのディテールでアレンジしたモダンなスタイルが主流。ジャケットとコートを融合させたハイブリッドなアイテムやB-3風のボンバージャケットは、世界的に流行しているラグジュアリー・ストリートとの相性も良さそうだ。
中盤に入るとエアフォースブルーのフライトジャケットが登場。その後、カラーパレットはグレー、ネイビー、カーキに変化し、徐々にミリタリー色を強めてゆく。袖がミックスニットになったネイビー×レッドのM-65はまだ都会的だが、ラストから2体目のカーキのM-65は軍服のディテールそのままを再現している(素材は機能素材だが…)。
また、単色のアイテムが目立つなかでアクセントになっているのが、鋭角な印象のシェブロン(山形)モチーフと大小2バリエーションのカモフラージュ柄。カモフラージュは、カーキ、濃度の違う2色のブルー、ブラックのありそうでなかった配色で、カーゴパンツ、フライトジャケット、マフラー、シャツなどに落とし込まれている。
レディースは極端に大きなポケットを装備したトレンチコート、シェブロン型のモチーフのビッグシルエットのニットコート、ファーのブルゾンが一体になったAラインのMA-1型コート、極端にコンケーブしたミリタリージャケットなどが目を惹く。男性的なディテールを取り入れたルックが多いから、Aラインのコートやスカートを除けば、男女間の差異は小さく、お互いでシェアできそうな雰囲気だ。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)