ロンドン・ファッション・ウイークで発表されたジョン ロシャ(John Rocha)の2011年春夏コレクション。
今期のテーマはグランドツアー (イギリスで昔行われていた、裕福な家の子弟の修学旅行)。前世紀のボヘミアンの旅行者や、写真家デボラ・ターバヴィルの「Past Imperfect」の中のイメージからインスピレーションを得た。
伝統的なテーラリング技術とモダンなシルエットが融合して、リラックス感がありながらも高貴なエレガンスと自信にあふれた女性像が描き出された。黒、白、ヌード、ローズ、そしてアイボリーのモノクロームがメインの、シンプルで美しいカラーパレット。そこにそれぞれの素材が持つ雰囲気が加わって、様々な表情が現れてくる。目の粗いニットや、ドローストリングのディテール、素朴なツイードが気まぐれな旅の印象を残し、コクーンシェイプのバックパックも放浪の旅をイメージ。繊細な素材でできた、フリルのつばの帽子や靴紐のないブーツが優しくものうげなムードをさらに強調している。はかなさと強さ、荒っぽさと洗練の境界にある、ジョンならではの美しさにあふれたコレクションだった。