2014年10月27日(月)、東京・日比谷にあるツインタワービルにて、ノゾミイシグロ オートクチュール(NOZOMI ISHIGURO HAUTE COUTURE)が2015年春夏コレクションを発表した。
舞台は、タンバリン(tambourine)と同様に、ファッションフェス「カワイイヘイトナイト」。“キャキャキャ”“スパッ”などのカタカナがスクリーン映し出され、会場には穏やかなカントリーミュージックが流れた。このミスマッチさが、これから始まるショーへの期待を高める。
そこへ現れたのは、吹き出しに英文字、イラストなどが散りばめられ‟マンガ”を彷彿させる模様が全面にあしらわれた、ジャケットとパンツに身を包んだ男性。実は、これからライブパフォーマンスを行う、ロックバンド‟FRYING DUTCHMAN”のメンバー。ユニークなポーズを決め、会場の熱気はパワーアップした。
つづいて、1枚ずつのファブリックをたるませ、鱗のような装飾で飾られたジャケットとミニスカートを合わせたルックが登場。真っ赤なロングヘアとキャップをあわせ、1つ1つのアイテムがもつ、主張の強さを感じさせる。このコーディネートのミスマッチさは、コレクションを通して繰り返される。フェミニンなブラウスにハードなアーミーパンツをあわせたり、バルーンシルエットのワンピースにウエスタンハットをあわせたり…。メッセージ性の強いアイテム同士の組み合わせは、テイストを統一すると概念から逸脱した、オシャレを楽しむ心が伝わってくる。
特徴的なのは、“カワイイカルチャー”を象徴するカタカナのプリント。“スパッ”“ドドドド”“ガッフ”など、意味を持たない擬声語のような言葉たちは、日本人の私たちにさえ、外国人が日本語に初めて触れるようなアートのような感覚に浸らせる。また、日本を代表するキャラクター、ハローキティを想起させる赤いリボンも見逃せない。
さらに目をひくのは、アシンメトリーなシルエット。フリルやアコーディオンプリーツ、ギャザーを巧に利用し、前後左右で全く異なる見せ方を提案。左から見ると膝丈のスカートも、右から見るとミニスカートだったり、はたまた左からみるとロングジャケットなのに、右からみるとショート丈のジャケットであったり…。着るたびに、新しい発見ができるようなおもしろいアイテムが勢ぞろいだ。
90年代大流行したルーズソックスは、現在東京のストリートシーンで再ブームとなっている。今コレクションでは、このルーズソックスがキーポイント。ボリュームは抑え、ベーシックなホワイトのソックスをブーツとあわせた。
海外では、‟トーキョー”‟マンガ”‟アニメ”などいろんなキーワードで表現され、人気のある東京のファッション。ごちゃまぜ、ぐちゃぐちゃなのに、不思議とまとまるのはカワイイという共通項とオシャレを楽しむ心なのかもしれないと感じるコレクションとなった。