アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)が、2014年9月30日(火)にパリで2015年春夏コレクションを発表。会場はアーティストのマーク・クインが手掛けた蘭をモチーフにした彫刻で占拠され、黒い漆塗りウッドフロアのランウェイがマットに艶めく。
今季は、アンティークの着物をインスピレーションに、和を強く打ち出したコレクションを披露。2015年春夏メンズコレクションや、2015年リゾートコレクションでも日本文化のアイディアを織り交ぜたクリエ―ションを展開した、クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン。今年6月に表参道の旗艦店オープンのために来日したことも、彼女に影響を与えたのかもしれない。
コレクションでキーとなったのは、ブロッサムピンクや芸者ピンクと呼ばれる艶やかな色彩。ブラック、ホワイトとともに、グラフィカルな花がジャカード素材に描かれる。また華やかさを引き締めるかのように、ドレスにはジオメトリックなラインが大胆に引かれ、装いに緊張感をもたらしているところがブランドらしい特徴だ。その他、襖の絵柄のようなモチーフも目立っている。
日本的な要素は、着物のようなシルクやジャカード素材の他に、シルエットやディテールでも表現。ほとんどのジャケットやドレスはベルスリーブに大胆なカッティングがなされ振袖のように見せたほか、パンツもまた同様にベルボトムで展開された。さらにはハードなレザーをアクセントにもちいた長襦袢風のドレス、甲冑のようなブラトップのドレスなど、どのピースをとっても和の要素を発見することができる。また侍をイメージしたという高いポニーテールと黒漆でできた仮面のようなヘッドピースは、抑圧的な雰囲気を演出する。
シャープなカッティングや、張りのあるレザー使いも印象的であるが、後半に登場したドレスは、はんなりとした美しさがある。ハーネスと融合したドレスはスカート一面に、無数の花弁がぎっしりとあしらわれていたり、柔らかなシフォンのドレスには、ポンポン状なった小さな桜が可愛らしく咲いていたりと、うららかな春の匂いを振りまく。ラストは総レースのドレスやポンチョでコレクションを締めくくった。