2010年10月19日、まとふ(matohu)が、2011年春夏コレクションを発表した。
前回のコレクションと同様、テーマは「かさね」。ピアノの軽やかな音色の中始まった今回のコレクションでは、天然染色された優しく心地よい色合いの洋服を、美しく「かさね」た洋服達が観客を魅了した。
「色」に着目した今回のコレクションでは、展開された全てのアイテムが、風景写真から色を分解し、素材を完成させてからデザインをするという行程を通して作られたという。また、本コレクションで発表された全30体のルック全てに、「花冷え」「新芽」「山沿いの菜の花」「レモンシャーベット」「かさなる想い」といったネーミングがなされ、詩的な言葉の連なりが洋服の世界観をより豊かに表現した。
今回、まとふがマテリアル作りに使用した天然染色であるが、この染色方法には「褪せる」という欠点がある。そこでまとふは、色が褪せてきてしまった洋服を染め直したり、季節や気分に応じて全く異なる色に変えるという新たなシステムを提案。弱点を強みへと変え、まとふの洋服を着る人へ、新たな洋服の楽しみ方を提供している。
また、ショー終了後のインタビューで、これまで同ブランドが2005年から5年をかけて10シーズンに渡りテーマとしてきた「慶長の美」との関連性について問われると、「『慶長の美』というテーマは既に消化済だという思いはあるが、このテーマを通じて得た『美しいもの』の見方や感じ方は今シーズンにも生かされていると思う」と語ったデザイナーの二人。
その言葉通り、更に進化を遂げた美しく心地よい彼らの世界観が存分に発揮された夢の様なコレクションとなった。