ヴァレンティノ(VALENTINO)の2015年スプリングコレクションは、デザイナーのマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリが、1人の女性アーティストに注目。2人がフォーカスしのは、メキシコ人画家で民族芸術の第1人者として知られる、フリーダ・カーロだ。彼女が好む彩度の高い鮮やかな色を大胆に配したコレクションは、ブランドの甘く自由なスピリットと融合され、美しく個性溢れる女性の姿を思わせる。
1973年に発表されたオリジナルのプリントは、鮮やかなカラーでエネルギッシュに生まれ変わった。ブロックやラインで、ウェアやシューズ、ミニバッグを幾何学的に彩り、眩しいほどの存在感を放つ。ドレスやスカート、パンツといったアイテムのシルエットをシャープにすることで、そのインパクトはより際立っている様子。
またヴァレンティノを象徴する要素は、細やかな装飾で表現されている。今季はスタッズの数が増し、レザーのロングシャツやドレスなどに用いられ、装いに華やかなスパイスを効かせた。また刺繍は多くの服に施され、ロマンティックな花柄、マニッシュなミリタリーモチーフ、空想的な動物や風景など、様々な模様を描く。特にバタフライやモンキーなどたくさん集まった動物の模様は、カモフラージュ柄となり、装いにファンタジーな世界観をもたらした。
女性らしさを前面に出した優雅なロングドレスや、ジャケットを羽織ったスマートなパンツルックなど、コレクションではフェミニンとマスキュリン、両方の魅力がアピールされている。イノセントなワンピースにミリタリーコートを羽織ったり、白シャツにカットレザーのアイテムを重ねたりと、それらの2つの要素を自然に調和させたスタイルも目立っていた。