サンローラン(Saint Laurent)は2014年6月30日(月)、2015年春夏メンズコレクションをフランス・パリで発表した。テーマは「Psych Rock's New Rising」。
レピュブリック広場近くの倉庫の会場は、オレンジ色のライトが怪しく光り、ファンのワクワク感が会場に充満している。ランウェイ入り口のライトの幻想的な演出の後に現れたのは、ナポレオンジャケットとブラックのスキニーデニム姿のロックスター。ウエスタンハットとストローハットを融合させたようなハットと、無造作に巻いたストールが程良いアクセントになっている。
全体的な雰囲気は、1960年代後半から70年代前半のロックの黄金期を思わせるスタイルだ。アウターは、豪華な刺繍が施されたナポレオンジャケット、スウェードやレザー(大小のスタッズを打ち付けた)のGジャン、フリンジのライダースジャケットやウエスタンジャケット、ヒッピー調のスウェードのマント、花柄のラグ、ハラコのケープなどで、ボトムは細みのブラックデニムの一択。シルエットはスリムストレートで、切りっぱなしの裾は靴先が尖ったウエスタン調のブーツに被せるために、ほんの少しだけフレアしている。それに合わせるベルトはブラウンかブラックの太めのベルト(少し野暮な印象がある)で、インナーは基本的にパンツインしている。
テーラードジャケットはいつもより少なめで、レッド&シルバーのボールドストライプのジャケットや流れ星のような刺繍を全面に配したジャケットなど。アクセサリー類は、首もとや手首にナバホ調やウエスタン調のアクセサリーを大量に付けている。
今シーズンのパリは、リラックス感のあるテーラード、太めのパンツを提案するブランドが多い中で、エディは頑にスキニーにこだわり続けている。「psych」は日本語で精神、霊魂を意味する。何にも流されず自らのDNAを貫くエディ・スリマンのロック魂が、細胞ひとつひとつに沁み入ってくるようなコレクションだった。
Text by Kaijiro Masuda (FASHION JOURNALIST)