エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)は、2024-25年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを発表。
今季は、デザイナーの鈴木大器が20代の頃、最も影響を受けたという1980年代のファッションを振り返り、現在の自分に投影している。アイビーリーグやアウトドア、プレッピー、ワークウェア、古着、そしてカウボーイスタイルに影響を受けたティーンエイジにはじまり、そこからC.P. カンパニー(C.P. COMPANY)やジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)に典型的なヨーロピアンカジュアル、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)やY's(ワイズ)などの国内DCブランドへと関心の幅を広げていったことによる、自らの蓄積を回顧。
同時に、ポストミュージックからニュー・ウェーブへと向かう音楽シーンや1980年代当時のポップアートからのインスピレーションも織り交ぜることで、多彩な要素を踏まえたうえで現在の自分からはどのような表現が生まれるのかを実験的に試みたシーズンとなる。
アイコニックなアイビースタイルやワーク、ミリタリーといったエンジニアド ガーメンツの基盤は生かしつつも、前衛的なムードを漂わせているのが印象的だ。特に特徴的なのは、フレキシブルなディテール。ヘリンボーンやウールフランネルのアンコンジャケットにはファスナーを走らせ、変形させて着ることのできる1着に仕上げた。また、温かみのあるフェイクスエードのジャケットは前立ての部分に遊びを効かせており、動きのあるフロントデザインを演出する。
襟が取れる仕様のサージジャケットは、ハーネスベストと組み合わせることでより一層構築的な佇まいに。この他にもボタンをはずして裾のパーツを取り外すことのできるスタンドカラーシャツや、サイドに施されたスリットから腕を出してケープのようにまとうことのできるフライトジャケットなど、レイヤードスタイルに新鮮さをもたらす変形デザインが目を引いた。
色彩はブラックやネイビーなどダークトーンの割合が多いものの、素材の質感によって表情を加えることで重厚感と柔らかさ、親しみやすさの絶妙なバランスを生み出している。たとえば、艶やかな黒のコーデュロイセットアップにはシワ感のあるベストやさらりとしたブラウスを合わせて表面の光沢や厚みにコントラストをつけ、分量感のあるシルエットのミリタリーコートは、3レイヤーナイロンを採用して身軽でアクティブな要素を加えた。
ボアのケープや、クロコエンボスのフェイクレザーベストなどもまた、スタイルのムードに変化をもたらすアクセントとして用いられている。
華やかさをもたらすテキスタイルにも注目だ。アシンメトリーのミリタリージャケットにはダマスク柄のジャカード地を採用し、タフな装いに優雅さをプラス。ニットフーディーやベストには地層のような色味がウォーミングなフェアアイルストライプを施し、黒地のシャツにはヴィヴィッドなステッチでフラワーモチーフの刺繍を施した。立体的なフォルムのショートトレンチジャケットに施されたレオパードプリントや、バラの花が彩るタペストリーのようなジャカードパンツ、ジャケットも存在感を放っている。