MSGM(エムスジーエム)の2015年春夏コレクションがイタリア・ミラノで発表された。インスパイアされたのはイタリア人アーティスト、アルギエロ・ボエッティが作る刺繍が施された美しいマップと50&60'sのカリフォルニアだ。このコレクションを例えるならば、若き日の残酷なストーリー。空虚さや無駄な時間、リスク……。苦しみや矛盾を抱えながらも、希望を見いだそうとする若者たちを、ダークカラーと明るい色で表現した。
前半に登場するのは、グレーやブラックが中心のルックたち。チェック柄のドロップショルダーのトップスや、ダーツの入ったワイドパンツ、ボックスシャツとバミューダパンツなど、着心地の良いゆったりとしたアイテムが登場する。インテリアから着想を得たシダの葉のリゾート柄は、底抜けに明るいわけではなく、ダークな印象をも与える。
中盤になるにつれて、薄いピンクやターコイズなど、モノトーンに色味が加わっていく。ナショナルフラッグが用いられたプリント、ブロック柄、と様々な模様が多用されている。中には、柄と柄を組み合わせて1つのアイテムに落とし込んだアイテムも見られ、多様な心情が混ざり合った若者の葛藤を表しているよう。
そして後半にはオレンジやイエロー、ライトブルー、ホワイトなどの明るいトーンが中心となる。コートやサンダル、ベルト、そしてパイナップルとサボテンが取り入れられたプリントのパンツなど、前半とは打って変わって、希望を見いだすような明るさのアイテムが登場している。
このコレクションのストーリーのバックグラウンドとなる曲は、カルフォルニアのインディーズバンド“YACHT”の「I walked alone」。ギターとドラム、そしてボーカルが生み出すグルーヴィーな音楽がコレクションの世界観を体現しているようだ。