オダカ(ODAKHA)の2024年春夏コレクションが発表された。
2023年秋冬コレクションよりブランド名を「マラミュート(malamute)」から改名し、2シーズン目となった今季のオダカ。その着想源となったのが、フランスの彫刻家ニキ・ド・サンファルの代表作「ナナ」シリーズである。軽やかな躍動感と鮮やかな色彩で仕上げられた「ナナ」の女性像を、オダカが得意とするニットウェアへと反映させた。
「ナナ」シリーズの最初の作品が発表される契機となったのが、ニキが親しくしていた美術家ラリー・リヴァースのパートナー、クラリスの妊娠であったという。豊満な女性像を、躍動感ある動きと色鮮やかな色彩でもって表現したその作品は、だから、女性の身体、女性性を肯定的に捉えようとしたものであったようだ。
女性性を力強く表現する「ナナ」の姿勢は、今季のオダカにも通底するように思われる。何よりも主眼となるのが、身体との関係である。ここで、衣服と身体とが密接に、じかに接するのが、ランジェリーやコルセットにおいてにほかならない。しかし、それらが身体を締め上げるというのではなく、ここではニットという可塑的な素材を用いることで、身体と呼びかけ合いつつそのシルエットを引き立てるウェアを構築しているのだ。
身体への意識のもと、衣服の「下」にまとわれるものは、ワンピースやジャケットといった衣服そのものへとデザインされ直される。さならがレースのように繊細な透かし模様をあらわしたニットをはじめ、多彩な編み地を切り替えつつ用い、時にウエストを絞ることで、衣服の構造と装飾が一体となったウェアを生みだした。
コレクションを構成するカラーは、ホワイトを軸に、レッドやグリーンといった「ナナ」シリーズを特徴付ける力強い色彩を取り入れた。また、オダカが多様する花柄も、プルオーバーなどを華やかに彩っている。