オーラリー(AURALEE)の2024年春夏コレクションが、2023年6月21日(水)、フランス・パリにて発表された。
パリの街の道路に向かって開かれた、涼やかに風の通る建物の陰で開催された、オーラリーのコレクション発表。この、風の爽やかに抜ける「開かれ」が、今季のオーラリーのコレクションのなかにすうっと通っているように思われる。それは、衣服の内側を外へと開く心地よさだ。
たとえば、透け感のある素材。薄手のトップスは、その下を透かして見せるほどに繊細。そのネックは広く、心地よい抜け感をもたらす。また、プルオーバーのニットはリラクシングなシルエットで、ざっくりと編み上げることで素肌を爽やかに透かしてみせる。コレクションでは全体としてレイヤードのルックが数多く展開され、透け感がもたらす多層性がいっそう引き立てられている。
衣服の表側と裏側を反転させたような表情も幾つか見られる。しかし、それはいわゆる解体・再構築的なアヴァンギャルドのそれではない。トレンチコートやジャケット、パンツなど、トーン・オン・トーンのライナーやポケットなどが外側に開かれることで、表情の軽快な変化がもたらされている。また、アウターの上にタンクトップといったタイトなトップスをウエストに重ねるレイヤリングも、このように内側を外側に開く例だと見ることができよう。
衣服の内側に開放感をもたらすのは、シルエットにおいても同様であり、全体として身体に心地よく寄り添うリラクシングなラインによって、抜け感がもたらされている。フォーマルなテーラリングも、決して堅苦しいことはない。とりわけウィメンズのスーツでは、歩みに合わせて揺らめくプリーツスカートを合わせることで、軽快な表情をもたらした。
カラーは、エクリュやベージュ、ライトブルー、ライトグリーンなど、オーラリーらしいニュートラルで爽やかなトーンが軸。そのなかに、レンガを彷彿とさせるオレンジ、ブルーといった力強いカラーを織り交ぜ、レイヤリングを主体としたコーディネートにアクセントを加えている。