野生の動物が現れたかのように、エネルギッシュなモデルが颯爽とランウェイを駆け抜けた今シーズン。エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI) 2014-15年秋冬コレクションでは、古代ネイティブアメリカンやイヌイット族にみられる装飾的なカルチャーをベースに、プリミティブでありながらもラグジュアリーなワードローブが披露された。
その原始的でありリュクスな要素は、プリントや柄、ディテールから見て取れる。ワンピースやワイドパンツには、ブランドのトレードマークである“オルキデア”柄が豪快にプリントされた。さらにそれらのアイテム全面に配されたシルバーのスタッズが、まるで薄膜のモチーフの上に纏う鎧のよう。
またニットのポンチョには、アメリカはインディアン部族のアイコニックなモチーフであるナバホ柄が用いられ、個性的で暖かな印象。オレンジやホワイトのファーには、ナバホ柄はもちろんのこと、ダルメシアン柄の馬であるアルパーサのモチーフなども落とし込まれ、ワイルドさと伝統が混ざり合う。さらにタキシードやイブニングドレスは、民族的なジオメトリックパターンに敷き詰められた立体的なゴールドビーズが、まばゆいばかりの輝きを放っている。
野性味あふれる素材は、今季のルックに不可欠な存在だ。コレクションでは、フォックスにリンクス(オオヤマネコ)が織り込まれたファーや、光沢のあるポニーがミンクとつなぎ合わされたものなどが登場。コートにはもちろんのこと、ジャケットの襟元や袖口などにも贅沢に使用されている。またカーフ生地にアルパーサの柄がプリントされたコートは、Iラインの上品なシルエットで動物的な要素を中和した。
それらのワードローブと共に、足元には軽くて丈夫なディアスキンのブーツや粗いレースアップのスティレットヒールがコーディネートされ、すっきりとしたスタイリングに仕上げている。グラマラスさの中に、ワイルドな女性の魅力を感じさせるコレクションとなった。