本展では、メゾンと日本の関わりにも光をあてている。たとえば、1953年には、日本で作られたディールの服が、日本人モデルによって披露。会場では、その際に発表されたドレスやコートなどを展示している。
また、古今東西、世界各国の文化を参照する歴代のクリエイティブ ディレクターは、日本の文化をも創作の源泉としてきた。葛飾北斎の《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》を彷彿とさせるジョン・ガリアーノによるリネンコートや、鮮やかな刺繍を施した着物風のドレス、有松絞りを用いたラフ・シモンズのビスチェドレスなどのほか、マリア・グラツィア・キウリなどによる桜のモチーフを取り入れたドレスやジャケットも目にすることができる。
ところで、1905年、フランスのリゾート地グランヴィルに生まれたクリスチャン・ディオールは、当初は芸術の道を志していた。1928〜34年にかけてディオールが経営したギャラリーでは、パブロ・ピカソやアンリ・マティス、ジャン・コクトーといった著名な芸術家ばかりでなく、サルバトール・ダリやアルベルト・ジャコメッティなど、のちに有名となる若い芸術家の作品も展示されていたという。
本展では、芸術からファッションへと歩んでいったディオールの足跡を反映するかのように、美術作品をファッションと呼応させて展示している。なかでも、写真家・高木由利子による作品は、繊細優美にゆらめくディオールの服の動きを、その残像でもって表現している。会場では、写真と、被写体となったディオールの作品とともに目にすることができる。
また、1949年に発表されたドレス「ミス ディオール(Miss Dior)」──この名前は1947年に手がけらたメゾン初の香水を彷彿とさせるが、「Miss」が使われるところからも、国外、特に一大ターゲットとなるアメリカを視野に入れたメゾンの動きを垣間見ることができるだろう──を基点とする章では、花の刺繍を数多と散りばめたこのドレスをはじめ、花園を彷彿とさせるドレスの数々を、牧野虎雄や田淵安一などの作品とともに展示している。
企画展「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」
会期:2022年12月21日(水)〜2023年5月28日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F・B2F
住所:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(1月2日(月・振替休日)・9日(月・祝)は開館)、12月28日(水)〜1月1日(日・祝)、1月10日(火)
観覧料:一般 2,000円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円、中学・高校生以下 無料(学生証を提示)
※本展チケットで「MOTコレクション」も観覧可
※小学生以下は保護者の同伴が必要
※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳の所持者および付添者(2名まで)は無料
※館内の混雑状況によっては、チケット購入ないし入場まで待つ場合や、当日券販売を早期に終了する場合あり
※オンラインの予約優先チケットあり
※無料対象者、割引、入場方法などについては美術館ホームページを参照
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル / 9:00〜20:00 年中無休)