まとふ(matohu)が2010-2011年秋冬コレクションを発表した。テーマは「かさね」in秋冬(なお、2011年春夏シーズンも同テーマで予定中)。
単に“レイヤード(重ね着)”のことではなく、“色の重ね”のこと。デザイナーが追求するのは”日本の美 意識”。平安時代の十二単をヒントに、「色」から風景を想像させるような彩色感や季節感を演出し、その季節を「マトウ」ことを楽しむ日本人としての美を演出す る。
素材は主にウールを使い、とりわけ明色を使って目に飛び込んでくる色のイメージを印象深いものにしている。モデルのヘアスタイ ルも薄い色の層を重ねるという繊細な作業にこだわりがあるが、ひときわ個性的なのは、作品ごとに名前が付いていること。「秋の河原」から 「冬の朝」まで計26作品によって、そこには季節の移ろいを感じるストーリーがある。この言葉によって、見る者の「色」の風景への想像力が掻き立てられるのだろう。「イルミネーション」では、デザイナー曰く、表参道のクリスマスがモチーフとのこと。黄色やオレンジ色系の華やかなグラデーションで、思わず目に浮かぶような作品だった。