リック・オウエンス(Rick Owens)の2022年春夏メンズコレクションが発表された。
リック・オウエンスが今季のコレクションで掲げたのは「快楽主義」。どこか幸福感のある、ソフトな印象のクリエーションを提案している。リック曰く、ネガティブなムードが漂う世の中にありながら、「感謝の気持ち」を込めるように制作を進めたという。
今シーズンを象徴するのは、ホワイトをベースとした柔らかなニュアンスのカラーパレット。イギリスのロックバンド「レッド・ツェッペリン」のアルバム「聖なる館」や「天国への階段」からイマジネーションを膨らませ、“白い衣装を纏ったヒッピー”ルックを作り上げた。
彼らのユニフォームは、透け感のあるシャツやかぎ編みのニットに、コットンのボディスーツ。ボトムスにはフレアシルエットのバギーパンツ、足もとにはプラットフォームシューズを組み合わせた。もくもくとした白い煙を放出する“フォグマシーン”着想のバッグも目を引く。
マテリアルが持つ質感も、今季のソフトなムードを演出するのに一役買っている要素。ここ数シーズン、不穏な空気を断ち切るというコンセプトで提案してきた密閉感のあるボディスーツとは対照的に、素肌を露わにするようなかぎ編みのニットや、シアーな素材を取り入れている。
パワーショルダーのテーラードジャケットには、コットンオーガンザやシルクシフォンをドッキング。どこかロマンティックで、開放感のあるニュアンスを演出した。
ボリューミーなフェザージャケットは、ジャズシンガーや女優として活躍したジョセフィン・ベイカーの作品などを手掛けたことで知られるパリ最古の羽根細工商「メゾン・フェブリエ」とタッグを組んだもの。ブリーチした鳥の羽を手作業で織り込み、ジャケットに仕立てた。
なお、今季は2021年秋冬ウィメンズコレクションに引き続き、イタリア・ヴェネツィアにランウェイを設置。リック・オウエンスの私邸前にあるビーチで、ライブストリーミングショーを開催した。