N.ハリウッド コンパイル(N.HOOLYWOOD COMPILE)は、2020年フォールメンズコレクションを発表した。
今季のショーの会場となったのは、ニューヨークのメソニックホール。暗く照明を落とした会場内に、King Gnu(キングヌー)・millennium parade(ミレニアムパレード)の常田大希が颯爽と現れた。空間を裂くようなチェロのソロとともに、ショーがスタートした。
ランウェイに登場したのは、N.ハリウッドのアナザーラインであるN.ハリウッド コンパイルのコレクション。カジュアルなアイテムをドレスアップしたり、ドレスライクなものをカジュアルダウンしたりと、様々な洋服の要素を編集した、リアルに着られる新たなフォーマル・ドレスウェアを提案する。ブラックやグレーなどのダークカラーをベースに、メインラインとはまた異なる、しなやかな表現が散見された。
より自然な形で現代の空気に馴染んでいく、N.ハリウッド コンパイルのドレスウェアに共通しているのは、肩の力を抜いたコンフォータブルな佇まいだ。ネクタイを締めたシャツに合わせた中綿ジャケットやノーカラージャケットは、いずれもほのかに丸みを帯びたシルエットが特徴。布地が肩に沿うようにドロップショルダーのパターンで袖付けを行うことで、ボクシーで緩やかなフォルムに仕上げている。
中でも目を引いたのは、上品な光沢感を備えたブラックベルベットのノーカラージャケットやコートなど。ベルベットとコットンのボンディング素材が用いられており、リバーシブルで着用可能となっている。ベルベットの持つクラシカルな重厚さと、シームレスな仕立てが組み合わせられることで、凛とした表情とフラットなムードを共存させた。
ボトムスは、布の分量を取って程よくゆとりを持たせたセンタープレスパンツやクロップドパンツ等を用意。艶やかなブラックのセットアップは、コンパクトなジャケットにドレープ感のあるパンツを組み合わせることで、わずかな抜け感を添える。
また、ワークテイストのウェアやアクティブなデザインも、洗練された空気感の中で再解釈されているのが印象的だ。袖や身頃に複数ポケットを配したジャケットは、ボタンやファスナー、などの付属も含めオールブラックに統一。その他、装飾を排したフーデッドジャケットやプルオーバー、ミニマルに仕立てたミリタリーコートなど、ごくシンプルなデザインを採用することで、研ぎ澄まされたシックさを見せている。