高級紳士靴ブランドとして世界中で愛されるベルルッティ(Berluti)。そして、気品漂うベルルッティのコレクションの中でも、パティーヌの染色を施したシューズは、独特の艶とグラデーションをもち、男性なら誰もが憧れる存在だ。
今回は、ベルルッティを代表する技、パティーヌの魅力に迫るとともに、パティーヌのレザーシューズやグッズを紹介していく。
パティーヌは、溶剤、顔料、および染料を塗布しながら、皮革の着色および漂白を行うための様々な技法を用いて創り上げられた、まさに“秘伝の染色技”。1980年代、オルガ・ベルルッティによって生み出された。
独特の色彩、コントラスト、透明感をもたらすパティーヌは、1980年代発明当時、メンズの靴は黒か茶という概念を覆した。
まるで日本の漆器のような微光を放つその色味は、使うほどにツヤを増し、部分的に色が抜けることで時とともに新たな表情を見せる。職人技によって生まれた唯一無二の色は、今度は手に取った人が使用することで“自分の色”へと変化していく。
実は、毎シーズンのコレクションでベルルッティが発表しているパティーヌのカラーはごく一部。現在、実現できるカラーラインナップは、メゾンを代表する「トバコビス」ブラウンのほか、「キャビア」、「サンテミリオンレッド」、「ネログリージョ」など60種類以上を揃える。男性だけでなく、女性でも楽しめるようなカラーもあるのが嬉しい。
近年では、着色前にわずかに塗布することで、レッドやダークブラウンといった色彩にアンティーク調のゴールドを帯びた美しい透明感を与える「ゴールデンパティーヌ」も認知度を高めている。
なお、これらカラーはすべて工房で行われており、パティーヌによって“たわみ”(カラーグラデーションによる濃厚な色彩)、“光彩”(明るい縞)、あるいは“曇り”(煙のような趣)といった効果を与えられる。職人の手によって左右されるこれらの効果が、世界にまたとない唯一無二の色を生む。
パティーヌといえばシューズが最もスタンダードだが、その他、バッグやレザーグッズなど多彩なラインナップが登場している。
ベルルッティの代名詞的存在である「アレッサンドロ」。1895年、熟練の職人でエレガントなフォルムを愛するアレッサンドロ・ベルルッティが生み出したレースアップシューズだ。外に見える縫い目のない、1枚革から作られた極めてエレガントな紳士靴は、鮮やかなパティーヌのグラデーションも良く映える。
「インシジョン デトゥール」は、アシンメトリーなデザインが特徴のダブルモンクタイプ。モダンなシルエットに濃厚なパティーヌの色味とツヤを加えることで、ラグジュアリームード引き立つ1足に仕上げている。