ヴェルサーチェ(VERSACE)の2020年春夏メンズコレクションが、2019年6月15日(土)にイタリア・ミラノにて発表された。
ランウェイには、モデルのベラ・ハディッドが登場。
“コンテンポラリーな男性像への賛美”を掲げた今季のコレクションでは、自信、自由な精神、躊躇なき自己表現といった要素を表現。ステレオタイプ化された男性像の枠から解き放たれた、力強く、自由な男性像を映し出した。展開されたのは、身体に沿う端正な仕立てと、一瞬で目を捕らえるほど強い存在感のルックの数々だ。
ヴェルサーチェ本社の中庭に設置された会場には、ピンクを基調とした華やかな空間が演出されている。客席はカラフルなプリントのファブリックで覆われており、一歩足を踏み入れただけで非日常的かつ、ゴージャスな空気感に包まれた。
花をつけた植物が生き生きと繁り、中央には溢れる程の花を装飾した車がディスプレイされている。少年から成人になるイニシエーションの象徴として、モチーフ化された自動車とフェミニンさを漂わせる花々。自由な男性像を追求する姿勢をシンボリックに表現した。
1990年代に活躍し、レイブの象徴でもあったイギリスのバンド「ザ・プロディジー(The Prodigy)」から着想を得た、1990年代カルチャーを彷彿させるエッジの効いたデザインが散見された。レザージャケットやロングコートは、ウエストの高い位置でベルトを締めることでシャープな印象に。サイドをレースアップ仕様にしたレザーパンツや、オーバーサイズのライダースベストは、スマートなスーツスタイルやテーラードジャケットに組み合わせることで、ソリッドでパンクながら、上品さも描き出す。
レオパード柄も目を引いたポイント。柔らかな風合いの機能素材で仕立てたジャケットやパンツ、バッグが登場したかと思えば、艶やかなコーティング素材でもレオパード柄を表現。深みのあるブラックとレオパードを半身で切り替えたロングコートは、ベルトによってその非対称性をより一層強調している。その他、薄手のラメテキスタイルで仕立てたタイトフィットのワンピースやメタリックなミニドレスも展開された。
今季のシンボルでもある車のモチーフは、アーティストのアンディ・ディクソンが手掛けたアートワークに、きらびやかなレッドのストーンをあしらってレースカーとして表現。艶やかな光沢感のジャケットやパンツ、タイトなブラウス、ミニスカートに、遊び心を添える。
また、同じくアンディ・ディクソンによるカラフルな陶器の模様のシャイニーなセットアップ、トロピカルな色彩でギリシャ神話の美少年・ナルキッソスを描いたプリントブラウス、メドューサ・ビギー・アイウェアのプリントなど、プレイフルなモチーフが、ファビュラスな世界観にポップさをもたらしている。
また、アイキャッチなバッグにも注目。中でも目立っていたのは、アイコニックな「メドューサ」を立体的に象った小ぶりなバッグ。グラデーションでゴールドやブルー、ブラックの色彩を表現した、コーディネートのアクセントとなる1品だ。その他、花を挿した端正なレザートートや、ベルトを飾りエッジを効かせた筒形のショルダーバッグ、精巧な装飾を施した、金色の“V”型クロージャーをあしらったチェーンバッグなど、多彩なバリエーションのバッグが登場した。