アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)の2019-20年秋冬ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2019年2月28日(木)に発表された。
厳粛な黒と白。このアン ドゥムルメステール独特の世界観から距離を置き、桃色や赤、紫など暖色を基調とした今シーズン。暖かみのあるカラートーンと呼応するかのように、コレクション全体にも穏やかなムードが漂っている。
穏やかさの象徴として登場したのは、カフタンを想起させるラフなロングドレス。シフォンなどの風にたなびく軽量な素材が使用され、いずれも量感はたっぷりだ。風にのってたゆたうその様は実に穏やか。
また、テーラードでかっちりまとめるのではなく、変形型のベストを起用した点も今季のゆったりとしたムードを助長する。紳士服で見られるスーツのベストをロング丈やスリット入りにアレンジ。フェザー付きのシースルー素材のベストを作り出したり、ドレスと共布のベストを仕立てたり。いい意味で少し“気の抜けた”ピースを上から重ねることで、パンツ・ドレスルックどちらもノンシャランなムードをプラスさせた。
70・80年代のアントワープを着想源とした2019-20年秋冬メンズコレクションとリンクする部分も多かった。光沢のあるシルクやベロアに総柄をあしらって、エレガントな雰囲気に仕上げたファブリックを繰り返し起用。パンツやロングコート、ベストとして提案されている。
メンズコレクションで印象的に投じられたニットは、ウィメンズコレクションでも登場。ほぼほぼほどけてしまったようなブロークンニットは、ノースリーブのロングドレスの上にオン。肉厚のホワイトセーターはロングドレスとマッチさせ、エレガンスの中にカジュアルな要素をプラスしている。また、アン ドゥムルメステールにしては珍しい、フーディトップスなどのカジュアルウェアの登場も印象深かった。