アミ アレクサンドル マテュッシ(ami alexandre mattiussi)2019年秋冬メンズコレクションが、2019年1月17日(木)フランス・パリにて開催された。
会場に選ばれたのは、パリ市内に位置する、歴史深いシャイヨー国立劇場の一室。会場の中は、モデルたちのランウェイを作る為に複数のベージュのドレープカーテンで仕切られていて、いささか閉鎖感を感じる。
今季のメインカラーは、アイボリー、ベジュー、ブラウン、グレーといった落ち着いたカラーパレット。モノトーンで仕上げたスタイリングには、異なる素材が混在しているのが特徴だ。例えばファーストルックで登場した“オールアイボリー”のスタイリングには、ニットセーターを差し込んだ柔らかな質感のウールコートに、コットンパンツとレザーブーツを合わせた。柔らかなテイストの中に、硬質なレザーを差し込むことで、全体にアクセントを与えている。
落ち着いた色合いが多い分、時折顔を出すグリーンやピンクといったカラーにフレッシュな印象を覚える。中でも目を惹いたのは、大輪の薔薇が咲き誇るグリーンのニットセーター。華やかなモチーフは、温かな毛糸で再現されることで、コレクションの中に溶け込む柔らかな雰囲気を纏っている。
シャツやタイを差し込んだフォーマルなスタイルに、親近感を覚えるのは、スタイリングの中にどこか不完全な要素が混じっているからだろう。端正なテパードパンツと合わせた、アイボリーのVネックセーターの裾は、タックインしたズボンからはみ出しているし、ヘリンボーンのスリムなジャケットに合わせたマフラーは、床にひきづりそうなほど垂れ下がっている。
クラシカルなチェック柄や格子柄のジャケットは、オーバーサイズで登場。伝統的なスタイルを現代に再解釈した、新しいスタイルを作り上げている。
ショーのラスト、これまで会場を覆いつくしていたドレープカーテンが予期せず開口され、突然広々とした空間が現れる。勢ぞろいしたモデル達の背後にある最後のカーテンが開かれた時、思わず観客から歓声が漏れる。そこに現れたのは、一面張りのガラスに映るエッフェル塔。フランスのシンボルを後ろに背負ったワードローブは、窓から差し込む朝日を浴びて、キラキラと輝いているように見えた。