ミューラル(MURRAL)は、2019年春夏コレクションを2018年10月19日(金)に、東京・代官山で発表した。
しばしば毒っぽいと評されるミューラルだが、自分達は本当に毒を題材にした服を作りたいのか?という疑問から、毒と対極にあるヘルシーを組み合わせた“毒ヘルシー”をコンセプトに、新たなブランドのクリエーションを追求したとデザイナーの村松祐輔と関口愛弓は話す。
クリエーションチームの勤務体制も整え、気持ちを一新して臨んだ今回のコレクションは、毒っぽさを残しつつも、使用されている素材やフォルムを見てみると軽やかな印象だ。発表された会場も、真っ白な床や壁によってクリーンな空間を演出。既存のイメージに縛られず解き放たれた、オープンなマインドが投影されていた。
上から下へと流れていくような、絵画の構図を取り入れたレースは、スペクタクルな華やかさを描く。複雑な造形を織り成す唐草と小花、大胆かつ妖艶に咲いた花の模様、スカラップと、ある種建築のように組み立てられている。ブルー・ブラックをベースに、見る者を惹きつける魅惑的な表情を見せる。
クリエーションのテーマには、クリムトの《接吻》を選択。絵画に用いられた艶やかなゴールドカラーを象徴するかのように、金箔を用いたアイテムも散見された。レースのトップスの上に重ねた金箔のキャミソールドレスは、シワ感とドレープ感が神秘的な空気を放つ。同じく緊迫で仕立てられたアシンメトリーのスカートは、布の流れに沿って様々な方向に光を反射し、立体感のある輝きを放つ。
また、シアーな素材や透明感のあるオーガンザなども散見された。首にストラップを施し、ストールを巻いているかのように見えるブラウスは、光を反射し表情豊かに輝く。透け感のあるレース素材で仕立てたパンツには、半透明のジャケットをスタイリング。ポケットに色鮮やかな花を入れ、ファブリックを通して色彩を見せることで、淡く刹那的な空気感を漂わせていた。