マラミュート(malamute)の2019年春夏コレクションが、2018年10月17日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。
コレクションのテーマは「Re:」。デザイナーの小髙真理が、クリストファー・ノーランの映画『memento』と川上未映子の詩「まえのひ」から着想を得て、“記憶”をキーワードにコレクションを制作。10分しか記憶を保持できない主人公が織り成す物語や、“今日はいつだって、すべての、まえのひ”という言葉に突き動かされるように、過去の自分との対話を、ピースの1つ1つに投影した。
ほころんだローズのジャカード編みニットは、着ていくうちにほつれ、表情を変える。時間経過とともに移り変わっていくローズの、儚く繊細な美しさが、ブラックのロングドレスを彩った。
元々ニットをルーツに持つブランドだが、布帛やカットソーのスタイリングや、異素材組み合わせのピースも登場。「リペア」をキーワードに、デニムを解体してニットと組み合わせたドレスやトップス、ジャケットなどは、クラフト感やヴィンテージの雰囲気が漂う。繊細な編地とレース、デニム地を組み合わせたキャミソールは、複雑かつ緻密に構築されている。
また、カットソードレスとニット地を組み合わせ、上品なスカーフをあしらったスタイリングや、多彩な編地から成るニットドレス、ラメ糸やナチュラルな質感の糸などを組み合わせ、水彩画のような色彩バランスに仕上げたニットドレスなど、1つのアイテムや、1スタイリングに対しての情報量の多さも印象的だ。
2000年代の、様々なカルチャーをミックスしたファッションに色濃く影響を受けたデザイナーの小髙が考える自立した女性――ありとあらゆる情報を取り込みながらも自分の軸を持ち、自らのスタイルを確立する強さを持った女性に向けた服だからこそ、それぞればらばらな個性を放っている。上述したアイテム以外にも、凹凸をつけたボーダーニットや、アーティスティックなアクセサリー、オパールプリントによる透かし模様のジャケットなど、表現の幅の広さと、唯一無二の世界観を存分に発揮した。