ディオール(Dior)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2018年9月24日(月)に発表された。
会場は、パリ16区・ブローニュの森の中にあるロンシャン競馬場。“世界で1番美しい”とも言われる競馬場内に、ランウェイショーのために特別な会場が設営された。「ダンス」をクリエーションの起点として今季は、発表方法も斬新。ランウェイに初めに現れたのはモデルではなくダンサーで、パステルカラーの花びらが天から降りしきる中、パフォーマンスを披露。モデルの登場後も、複数のダンサーたちの演技は継続して行われた。
「ダンス」はディオールと縁が深いもので、ムッシュ・ディオールもダンスを好み、偉大なマーゴ・フォンテインなどを顧客に持っていたという。マリア・グラツィア・キウリは、過去の資料に加えて、ピナ・バウシュなどのコンテンポラリーダンスのヒロインたちの作品群から強いインスピレーションを受けて、新作ピースをデザインしたと語る。
ドレス、スーツ、パンツスタイルなど、あらゆるジャンルのウェアが揃っているが、それらを繋ぐのがダンスのエッセンスだ。ダンスの躍動感を表現するように、フリルやタックで広がりを持たせたチュールドレスは、アンダーウェアと組み合わせ。過去の女性たちの味方であったコルセットから、現代女性のために動きやすく、開放的なインナーを提案。ダンサーたちのレッスン着を想起させる、クロスストラップのタンクトップやスパッツ、ボディスーツなどが用意されている。
スーツスタイルは、ロゴ入りベルトでウエストマークをし、その品格を保ちながらもモダンにアップデート。ボトムスをクロップドパンツやワイドパンツにチェンジすることで、より自由な身体の動きを提供した。
デニムの起用は、ヒップホップの影響から。弾むようなリズムをまだら模様で視覚的に再現し、まだ劇場を出てオフへと戻るダンサーたちの日常をカジュアルウェアを交えることで、詩的に綴っている。
パレットはヌードカラーを中心に、深みのあるグリーンやネイビーなどをコンビネーション。いくつかのルックでは、それらの色彩に万華鏡のような幾何学的模様が配されているが、それはロイ・フラーが実施した運動学的実験にオマージュを捧げたものだという。
モデルたちを飾るのは、ダンサーをまさに想起させるヘアバンド。シューズもダンスシューズにのように足首までリボンが編み込まれたもので、プレキシガラスで仕上げたクリアなヒールが印象的だ。